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雲なす証言/Clouds of Witness  (ねこ3.5匹)

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ドロシー・L・セイヤーズ著。創元推理文庫

兄のジェラルドが殺人犯!? しかも、被害者は妹メアリの婚約者だという。お家の大事にピーター卿は悲劇の舞台へと駆けつけたが、待っていたのは、家族の証言すら信じられない雲を掴むような事件の状況だった……! 兄の無実を証明すべく東奔西走するピーター卿の名推理と、思いがけない冒険の数々。活気に満ちた物語が展開する第2長編。(裏表紙引用)


ピーター・ウィムジイ卿シリーズ第2弾。
貴族探偵」を読んだばかりだから、こういう本物を読むとアッチが新喜劇みたいに思えてならなくなって来た^^;本書ではピーター卿の兄であるデンヴァー公爵が殺人事件の犯人として捕まってしまうという衝撃の内容である。しかも、被害者の婚約者がピーター卿の妹なのだ。情にほだされているような面が前に出ているが、それなりに現場へ赴き証拠を見つけ論証しようとしているピーター卿と、従僕バンターのコンビ愛が好感度高し。ストレートな推理小説としてはあまり見るべきものはないが、貴族の生活と
常識を堪能するにはこれほどいいシリーズもないだろう。

思ったのは、貴族の恋愛って一体・・・?ってところ。貴族の初夜権ってなんだ?^^;そして中盤から判明する妹の境遇を読んでも、純粋で高潔でありながらどこか「適当」に思えてしまうのは。。
今回はピーター卿が沼に落ちたり銃で撃たれたりとさんさんたるありさま。女性が食事中に立ち上がってネックレスをスープに沈めたりするしなあ^^;推理じゃなくて、裁判の異様さや、キャラクターのおかしさを楽しむ作品。

2作品と短編集を読んで来て、自分がハマるかどうかはこの段階でまだわからない。少なくとも、今の時点では微妙。貴族ライフだけでは持たないレベルなんだよね、ミステリ読みとしては。この調子で名作と言われる「ナイン・テイラーズ」まで続くと結構辛いな。

(381P/読書所要時間3:00)