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密室殺人ゲーム2.0  (ねこ3.7匹)

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歌野晶午著。講談社ノベルス著。

「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」奇妙すぎるニックネームの5人が、日夜チャット上で「とびきりのトリック」を出題しあう推理合戦!ただし、このゲームが特殊なのは各々の参加者がトリックを披露するため、殺人を実行するということ。究極の推理ゲームが行き着く衝撃の結末とは。 (裏表紙引用)


『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編です^^
本書はノベルスにして約400ページの迫力に加え、興味深い注釈が添えられています。
『映画「ソウ」シリーズのすばらしいところは、前作までに使われた驚きをふまえたうえで、同一線上から少しだけずらした驚きを提供することにある。焼き直しではなく、まったく違うということもなく、少しだけずらすことにより、シリーズの世界観を拡散させることなく奥行きを与えている。自分もそういうずらしができればと思い、「密室殺人ゲーム」の続編を書いた。ーー歌野晶午

「ソウ」を5まで全部観ているゆきあやがこれでそそられずにいられようか!!実は「王手飛車取り」に関しては”物語性がないのでゲーム感覚のものが好きではない”という理由であまり気に入っていなかった。(その証拠に、記事がない^^;)記事書いときゃ良かったなー。。そういうことなら、少しでも内容を思い出したかったのだけど(←お得意の銀河の彼方系)^^

そういうわけで、前作とのリンクはいまいちピンと来なかったのだけど(さすがにキャラは記憶にあるが)、それでも単独作として楽しめました。嗜好が変わったのならめでたいことであります。
そして歌野さんの狙いである”ズレ”の部分、驚けましたよ!ここまで2作目でズラして大丈夫?と思えるぐらい派手に(笑)。。でも、「ソウ」でも2作目で一旦大きく変化したんだよね。とは言いましても、別に「ソウ」の知識など必要ありません。1作目、2作目と続けて読めば誰でもそのズレを楽しむ事が出来るものです。
それぞれの章タイトルも遊び心満載。『切り裂きジャック三十分の孤独』(しまそう^^;)『相当な悪魔』(えがみ^^;)『三つの閂』(かー)『密室よ、さらば』(みどく)『そして扉が開かれた』
(ふたり)などなど、ミステリ好きなら「ぶぶっ」と吹き出すものばかりですな。

それぞれの作品のレベル自体も、良い感じで上がっている気がします。特に『切り裂きジャック~』のトリック方法にはおぞましさ通り越して唖然。。最後の『そして扉が~』なんてさすがこの設定ならではのトリックとサプライズにお腹いっぱい。そしてさらなる続編への引きに、読者は次作を待ち望まずにはいられないでしょう^^

                             (388P/読書所要時間4:30)