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シライサン  (ねこ3.5匹)

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 乙一著。角川文庫。

親友の変死を目撃した山村瑞紀と、同じように弟が眼球を破裂させて亡くなった鈴木春男。それぞれ異様な死の真相を探る中、2人は事件の鍵を握る富田詠子から、ある怪談話を聞かされる。それは死んだ2人と詠子が旅行先で知った、異様に目の大きな女の話だった。女の名を頑なに告げなかった詠子だが、ひょんなことからその名を口に出してしまう。「お2人は…呪われました」―その日から瑞紀たちの周囲でも怪異が起き始め…。(裏表紙引用)
 
映画化される作品の原作ってことでいいのかな?乙さんが監督らしいが。確かに映画には向いてる内容。
 
目をそらすと呪われる「シライサン」。目が異常に大きく、両手のひらに鈴のついた紐を貫通させているというその怪物に呪われた人々が次々怪死していた。シライサンの名前を聞くと呪われるというのだ。呪いで親友を失った瑞紀、弟を失った春男は、共にシライサンの謎を暴き始めるが…。
 
眼球が破裂して死ぬ描写は確かに怖かった。シライサンに昔から伝わる伝承と歴史があって、そこから全部繋がっていくのもなるほどという感じ。怪談の伝わり方がちょっと人間のいやらしさ全開だね。(ところで世に大勢いる白井さんはどうなるんだろうか)最後に色んな仮説が出てくるのも不思議でいい。
 
でもちょっとなあ、乙一である必要がないというか、乙さんらしさがあまりないというか。。乙作品として意識すると結構退屈だったな。最近乙作品でカタルシスを感じることが全くなくなってしまった。普通にいいとは思うんだけどね。