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白薔薇殺人事件/How to Solve Your Own Murder (ねこ3.7匹)

クリスティン・ペリン著。上條ひろみ訳。創元推理文庫

ミステリ作家の卵であるアニーは、大叔母の住む村に招かれた。大きな屋敷に住む資産家の大叔母は、16歳のときに占い師から告げられた、いつかおまえは殺されるという予言を信じ続けており、奇妙な老婦人として知られている。アニーが屋敷に到着すると、大叔母は図書室の床に倒れて死んでいた。両手には血がついていて、そばには白薔薇が落ちていた。予言が的中したときのために大叔母が約60年をかけて調査した記録を手がかりに、アニーは犯人探しに挑む。犯人当てミステリの大傑作!(紹介文引用)
 
初読み作家さん。アメリカのもと書店員だそうで、本書が初の大人向けミステリーとのこと。ホロヴィッツ、クリスティの後継者だそうだがそれほどかな。つかホロヴィッツって現役やん。
 
ミステリ作家志望のアニーは、キャッスルノール村に住むフランシス大叔母の遺産相続候補人に指名され、他の候補者たちも集まる会合へ赴いた。一癖ありそうな候補者たちと共に、会合に現れなかったフランシスの自宅を訪ねると、そこにはフランシスの他殺死体が。大叔母は少女時代に、占い師から「お前の未来には乾いた骨がある(うんぬんかんぬん)」という超こわい予言をされており、彼女は日々死の影に怯えていた。やがて友人のエミリーが失踪し、大叔母はその後殺されるまでの60年間、エミリー失踪の謎解明と自分への予言の対策にのめり込む、周りから「変人」と噂されるだけの人生を送ることになる……。
 
自分が殺されると信じ込んでいた大叔母が、自分の死の真相を暴いた者に財産を譲るっていうトンデモ遺言モノ。アニーは大叔母に会ったこともないわけで、それでもお金のためだけじゃなく自分の気質とか大叔母への興味とか、母親の個展を成功させたいとか、色々な感情で動き回る。若い娘さんなのでロマンスも当然あるだろうと思って、若い男が出てくるたびに「こいつか?こいつか?」と色眼鏡で見てしまう。まさかの刑事なわけだけど、それならもっとこのクレイン刑事の魅力を引き出して欲しかったな~~~。
ロマンスと言えば大叔母の日記から伺える、ティーンエイジャーたちのドロドロ恋愛模様も読みどころ。人のものばっか欲しがる女子っているよねえ。。まさにこの子誰の子状態。60年前のおイタが、ず~~~っと彼らの関係性や人生に影響を与えるわけだから。。そりゃ殺しの一つや二つや三つ起きるわな。
 
まあそんなこんななんだかんだでアニーが活躍し、意外な犯人と動機で両方の事件は解決するのでした。解決したからって一件落着ではないし、引きずるものは大きいわけで。まあクリスティっぽいちゃクリスティぽいかな?ただ、訳のせいなのか元々なのか、文章がちょっと読みづらい。人間関係が複雑かつ三世代に渡っているのと、田舎ならではで1人1人端役までもが密接だったりするので、把握するのが本当に大変だった。。現代パートのウォルト弁護士と過去のウォルターが同一人物だって気付くのにかなり時間がかかったぞ。後半で「え、誰」ってなったまま読んでいた。面白いっちゃ面白いけど、キャラクターには惹かれなかったし、こんなに読むのに疲れるなら次作が出ても読むかどうかは雰囲気しだい。
 
ところで、「白薔薇殺人事件」ではないような。。。