綾辻行人著。講談社ノベルス。
綾辻行人と推理イベント「ミステリーナイト」が仕掛けたデビュー25周年コラボ作品『主たちの館』。謎の館「蜃気楼館」を再現した舞台の上で惨劇が起きた!被害者は綾辻行人!?遺された血文字、開かずの間、密室、舞台にある仕掛け…さまざまな謎と手がかりから読者は真相を見抜けるか?二〇一二年・夏に開催された本格推理イベントを書籍化!読めばあなたも名探偵に。
綾辻さんの新刊かと思って勇んで買ってみたら、舞台のノベライズ付きファンブックだった^^;トホホ。このノベライズは150ページほどのもので、あの(どの?)天祢涼さんが執筆されたものだそう。重ねてトホホ。ホテルで各主要都市400名もの参加者が集うミステリーナイトというものがあったのだとか。綾辻さんはもちろん重要なポストで参加されているものの、この作品自体は綾辻作品ほどのカタルシスはない、舞台でないとわかりにくい内容だったことが残念だなあ。もちろん、館シリーズそれぞれの主が(架空)出てきて「迷路さん、黒猫さん」とやるところはそれだけで面白いし、舞台だけに役柄と素の人柄の違いも明確で楽しみやすい。
ノベライズについてはそれでいいとして、面白かったのはミステリーナイトのレポートのほう。作り手の方々の対談形式(写真つき)となっているのだが、ホテルマンの方々の「楽しませるには自分が楽しまなければ」というホスピタリティや裏方としてヒントを教える「電話探偵局」の話、現代のネット社会を踏まえてのネタバレに対する「紳士協定」などなど、本気でものを仕上げる遊びの精神にただただ胸がときめいた。
話はそれるが、今年あるテーマパークで相方と「冒険の書」に挑戦したことがある。パーク内に仕掛けられた数々のヒントを書を読み解いて最終的にお宝を探し当てるというもので、まあ正直これはお父さんお母さんの力を借りないと子供には無理だろう、というレベルのものだった。テーマパーク自体が時期的にガラガラでしょぼく、することがなかったから、というのが本音だが、30後半の大人二人で4、5時間は歩き回ったのではないだろうか。。。いやあ、楽しかったなあ。あ、何が言いたいかというと、本を読んで推理する、ただ読むだけの楽しさも体で知っているつもりだが、鉛筆とノート片手にひたすら歩き回り頭を使い謎を解く、という遊びにはまた違った感動があることを知った。かと言ってミステリーナイトはレベルが高すぎて参加することはないのだが^^;あっはっはー。
話を本書に戻して。ちなみにこのイベントには道尾秀介さんや有栖川有栖さんも参加されております。映像出演にはねだえりかさんや元バービーボーイズのKONTAさんのお名前があったことにも驚き。どういうご関係かしらん。あと、綾辻&有栖川対談も載ってます(もちろんね^^)綾辻ファンなら読んで損はないかと。。一つ軽く驚いたのは、参加者に綾辻さんの作品を読んだことがない、という方が多く見られたという事実。私の世代ではちょっとないんじゃないかと思ったのだけど、まだまだミステリの世界は広いのかしらん。とにかく、年齢や人生経験を楯に楽しむことに慣れるのだけは避けたいもんです、はい。
余談。帰り際に応募した冒険の書の景品がまだ届かないが、外れたのかしらん。あんなに苦労したのに抽選かよ!と力なき笑いを後にした春の午後でありました。