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失踪症候群  (ねこ3.4匹)

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貫井徳郎著。双葉文庫

「若者たちの失踪の背後にあるものを探って欲しい」依頼に応えて、環敬吾はチームのメンバーに召集をかけた。私立探偵・原田柾一郎、托鉢僧・武藤隆、肉体労働者・倉持真栄。三人のプロフェッショナルが静かに行動を開始する。暴かれる謎、葬り去られる悪。ページを捲る手が止まらない『症候群』三部作第一弾!(裏表紙引用)


「症候群」シリーズの第一作。

期待が高すぎたわけではないのだが、今まで読んだ貫井作品の中で一番つまらなかったような。。書評には「好みが分かれる」と書いてあったりするので一概には言えないが、これ、読んだ時期が関係するんじゃないかと思った。1995年の作品だが時代設定はおそらく80年代。せめて発表当時に読めていれば時代を反映した描写と風刺要素に感心したかもしれない。あるいは作品世界と同世代の読者。実際ここに出て来る登場人物達は自分と同世代ではないのだ。Wiiじゃなくてファミコンだし、バンギャルじゃなくてグルーピーだし。

警察が大っぴらに捜査出来ない事件を、謎の秘密組織が警察の依頼で捜査するという、つかみとしては
悪くない設定。この組織メンバー1人1人が個性的で魅力的なのが人気の秘密だろうか。一見市井の一般人であるメンバーそれぞれの登場シーンはかつて見たヒーロー物のようで、いちいちカッコイイ。ゴレンジャーじゃないけれど、1人女性が混じっていても良かったな。

※以下、ネタバレというほどではありませんが真相のヒントになる可能性があります。本書未読の方は読まないで下さい。











しかしなあ、きっかけとなる事件そのものが地味であまり興味を持てず、物語中ちょっと大事になるぞこれはと見せかけて案外しょぼい。テーマはこの時代の若者、だと思うが。気になったのが、世間から不良のレッテルを貼られるバンドマンがやっぱり不良で、真面目ないい子の反抗はやっぱりただの反抗期っていうのが。今の時代なら、これ逆じゃないの?

(339P/読書所要時間2:30)