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甘栗と戦車とシロノワール  (ねこ3.8匹)

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太田忠司著。角川書店

名古屋に暮らす高校生の甘栗晃は、私立探偵だった父の跡を継ぎ、探偵業を始めたばかり。そんな彼の前に、とんでもない依頼人が現れた。元「名古屋最凶の中学生(戦車)」の肩書きを持つ、同級生の徳永。彼に頼まれたのは、目前で「消えた」小学校時代の恩師を探すこと。けれど依頼を受けてすぐ、晃のもとに脅迫状が届いて…!?大人気青春ミステリ続編、全編書き下ろし。 (あらすじ引用)


あああ~、やっぱこのシリーズいいわあ~(*^^*)

一作目を読んだのが随分前なので自分が忘れていたのかもしれないが、晃の身長が180近くもあるという記述を見た瞬間、表紙に騙されたと思った(いまさら?)。。年齢的にはOKだが、ゆきあやが萌えられる体格ではない。。。華奢(あなた体重50キロある?ってぐらい)で髪の毛サラサラで(ちょっと前髪が目にかかっているとなおいい)身長160~170くらいの子が好みなのだ。いや、小説の話だが。

記事がおかしな方向へ向かっているので修正しましょう。

名古屋最凶の中学生で、その強面の容姿から「戦車」の異名をとる徳永。彼と全く面識のない晃だったが、彼の依頼で徳永の元担任女教師を探すことになった。高校に入ってから悪い仲間と縁を切り真面目に教職を目指す一途な徳永の人柄に魅力を感じた晃は、どんな壁が立ちはだかろうとも仕事を全うしようとするのだ。彼の原動力が、「信頼」にあるところが素晴らしい。両親を亡くし、淡白でクールな印象しかない晃が胸にこれだけの熱いものを持っていたのかと思い知らされる終盤が感動的。自らのポリシーを口に出すことによって、自分の性分を自覚して行く姿は胸打つものがある。これが大人だったらそうはいかない。

対して徳永の造形は読む人によってはリアルではないかもしれない。現実に子供の頃おとなしかった子がホストになっていたり不良がいっぱしの社会人になって出世していたりという世の中の、これぞ理想的な成長ドラマではないだろうか。不良であったこと、恋によって傷ついた事は彼の夢にとってのハンディだ。そのダメージをバネにして伸びる、などとファンシーに捉えるべきではないのが現実かもしれないが、そこで背中を押してやれるのが困難を共に乗り越えた友達・・・。おっと、ハードボイルド少年が「そんなんじゃねえよ」と言っている。


(277P/読書所要時間2:00)