すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

古時計の秘密/The Secret of the Old Clock  (ねこ3匹)

イメージ 1

キャロリン・キーン著。創元推理文庫

ナンシー・ドルー18歳。金持ちの老人の遺産を、強欲な親戚一家がむりやり独り占めし、これまで老人から援助の手を差し伸べてもらっていた人々が困っているらしい。みんなに遺産がいきわたるようにすべく、ナンシーは遺言書捜しに奔走する。正義感が強く好奇心旺盛なナンシーが、大人顔負けの活躍で事件を解決する。長年にわたり人々に愛されてきたシリーズの、記念すべき第一作。 (裏表紙引用)


児童書。
アメリカで言うところの、<怪人二十面相>に当たるらしい。シリーズ作は100を越えるらしく、ミステリマニアなら一つ押さえておかなくてはなるまい、と思っていた。創元だし、表紙イラストが可愛かったし。

一言で言えば、痛快な作品。女の子なのでさすがに乱闘はないが、青のコンバーチブルを乗り回し元気にあっちこっち奔走する姿は読んでいて好感が持てる。人を許す寛大さ、人の為に何かを成し遂げる前向きさなど、児童向けとしてぬかりはない人物造形だ。
しかし、読んでいる最中ずっと気になっていたのだが、ナンシーの年齢=対象年齢だろうか?18歳の女子という事を考えれば、随分とやっている事が幼い気がする。事件に対して頭脳よりも行動で解決しているあたりも、好みではないかもしれない。いい子であれば、前向きで一生懸命であれば全てが上手く行くようなご都合主義展開になっているのは、児童向けだから?それなら、ラストであれほど派手に描いた「世の中、金」的大団円はどういう意図なんだろう。

                             (242P/読書所要時間2:30)