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僕と『彼女』の首なし死体  (ねこ1.5匹)

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白石かおる著。角川書店

冬の朝、渋谷ハチ公前、僕は生首を置きにゆく。彼女の願いを叶えるために。―おそるべき横溝チルドレンの登場!第29回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。 (紹介文引用)

※この作品がお好きな方、これから本書を読むのを楽しみにしている方、批判記事がお好きでない方は読まないで下さい。




ぴんぽーん。

ある残暑厳しい土曜の夜、すべ猫マンション1031号室のチャイムが鳴った。

ゆきあや(以下Y)「がちゃ。あら、黒べるちゃんいらっしゃい。良く分かったわね、ゆきあやが今ご機嫌ナナメだってことが。。」
黒べる(以下B)「ふふふ。。このたびはまた痛い目に遭ったようね。」
Y「むう、さすが・・!!!『壁本を一刀両断、酷評本のお悩み解決します』のチラシに惹かれてお電話して以来長いお付き合いの事だけあるわ・・!!」
B「ふふふ。エスパーべるとお呼び。さて今日は何の本なの?」
Y「・・・語呂だけはいいわね。。。え、えと、今日の本はほかでもない、黒べるちゃんが先日酷評のもとにぶった切っていた白石かおるさんの『僕と「彼女」の首なし死体』についてなのよ!!」
B「まあ~~~~。。。。それはそれは。心中お察しするわ。。たしかそれはゆきあやちゃん愛する北村薫さんが絶賛していて、しかも表紙が好みという事で期待していたのよね。」
Y「そうなのよ!!大当たりか大外れかという博打であったのは確かだけど、いくらなんでもここまで
ハズさなくてもという見事なハズしっぷりだったわ!」

B「まず設定は良かったのよね。主人公が不愉快で幼稚な人物だという事は確信的なものだからいいとしても、自宅の冷蔵庫に遺体を仕舞って、首だけはハチ公前に置いて来る、っていう何が目的なのかわからない斬新な発想だったわ。」
Y「そう!そこを否定しては始まらないからね。しかしそれにつけてもこの文章力のなさよ。。」
B「ふだん文章の善し悪しが評価に繋がらないゆきあやちゃんでもそう思ったのね。ところどころいい言葉はあったわよ。『いい表現』とはさすがに言わないけど。」
Y「でもねえ、そこまで斬新かと言われるとね。それを言っちゃ小川勝己さんとか乙一さんとかどうなるのよ。海外ものでも主人公がまともでない作風なんていくらでもあるわ!何が言いたいかっていうとね、この小説には作者や主人公のルーツが見えないのよ!!ていうか、ないのよ!!」
B「つまり作者と読者がリンクするような人生経験とか読んで来た本や聴いて来た音楽、そういった元ネタが見当たらないってことね。」
Y「それに加え、真相の意外性のなさ!なんなのよレシートって。そのまんまかよ!!」
B「ああ、たしかにまさかアレで捕まるとは驚愕だったわ。。。しかも首を置いた理由も全然面白くない。。主人公の蘊蓄にいちいち感動するコンビニの女は簀巻きにしてやりたかったわ。。。」
Y「いつきさんはまだまともな発言してたけどね。最後はともかく。ああいうくだりがあるから、作者は普通の視点をお持ちだと思ってホッとしたんだけども~~~~。。クレーン事故のあたりとか大震災のあたりはちょっと面白かった。。。あ、ちょっと黒べるちゃん、人の話聞いてるのっ!?」

B「ばささっ。。あ、^^;ごめんごめん。あまりにも自分と同じ評価なものだから。。まあ、そんなところでいいんじゃない。どうせ2、3作目で消えるわよこれじゃ。」
Y「でも読書メーターを覗くと結構評判はいいのよ。。褒め言葉すら聞きたくない本って山田○介以来だわ。ところで一体何をこっそり読んでるのよ・・・あっ、それは発売されたばかりの東野さんの新刊・・!!さ・さすが隣町図書館、いい仕事をするわね。。ちょっと見せなさい貸しなさい。こっちでは既に発売2日目で予約172人待ちだったわ!」
B「あ、ダメよこれは待望の加賀シリーズ・・と、ところでちょっと喉が渇いたわね。」
Y「そ、そうね。黒べるちゃん差し入れの八つ墓ジュースでも容れるわねっ。」

がさがさ。。。

B「あら?ジュース冷やしておかなかったの?」
Y「う、うん、ちょっと冷蔵庫がいっぱいっていうかなんていうか。。ごそごそ。とぽ。とぽとぽ。」
B「・・冷蔵庫が?・・・あら、いつの間にかゆきあやちゃんとこの冷蔵庫大きくなってない?」
Y「う、うんうん、ちょっと必要にかられて買い換えっていうか。。がちゃがちゃ。」
B「それにしてもでかいわね。。業務用みたい。。。」
Y「いやあ、なんていうか、丸いものってかさばるっていうかね、うんうん。がさがさ。」
B「・・・・・・」
Y「それに残暑とは言えまだまだ蒸すでしょ、腐ったら大変だからね、うんうんうん。ごそごそ。」
B「・・・・・・・・・」

Y「さ~あ八つ墓ジュースよ黒べるちゃん。氷もたっぷり入れておきましたあ~。」
B「・・・あ。。。あはは。。いや、ちょっと急用を思い出したっていうかなんていうか。。あは。」
Y「あら、それならジュースを飲んでからになさいよ。後で冷蔵庫の中も見て欲しいしっ。」
B「・・・!!!い、いえ、そんな趣味は・・・あはは。あはあは。。で、ではそろそろしつれいして~~~^^;」
Y「あっ!どこへ!!待ちなさい!!待ちなさいってば!!」

どたん!ばたん!!!ばたばたばたばた。。。。。

Y「あら~。。。相変わらず変わった人ね。。。ちょっと田舎からスイカを大量に送って来たから食べて欲しかったのに。。あら、黒べるちゃんったら慌てて『新参者』を忘れて行ってる。。ぷぷぷ。。」

                                           了


                             (339P/読書所要時間3:00)