森見登美彦著。幻冬舎。
糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父・総一郎はある日、鍋にされ、あっけなくこの世を去って
しまった。遺されたのは母と頼りない四兄弟。長兄・矢一郎は生真面目だが土壇場に弱く、
次兄・矢二郎は蛙になって井戸暮らし。三男・矢三郎は面白主義がいきすぎて周囲を困らせ、
矢四郎は化けてもつい尻尾を出す未熟者。この四兄弟が一族の誇りを取り戻すべく、ある時は
「腐れ大学生」ある時は「虎」に化けて京都の街を駆け回るも、そこにはいつも邪魔者が!
かねてより犬猿の仲の狸、宿敵・夷川家の阿呆兄弟・金閣&銀閣、人間に恋をして能力を
奪われ落ちぶれた天狗・赤玉先生、天狗を袖にし空を自在に飛び回る美女・弁天ーー。狸と
天狗と人間が入り乱れて巻き起こす三つ巴の化かし合いが今日も始まった!(あらすじ引用)
狸かよ!!!^^;;;
すっかり3冊目で森見ファンとなってしまったわたくし、今回もやられました~~~。
ノリとしては「夜は短し~」にとても近く、「ばかども」が右往左往し乱れに乱れる森見の祭典、
ここでそのハチャメチャな可笑しさもピークに来たか。
これ、完全に「狸」っていうのが面白いんだね。
しかも、かわいいし。毛玉。(*^^*)。
語り手が三男坊なので、「下からも上からも」の視点が生きてます。そうそう。会社でも
真ん中よりちょっと上、くらいが一番物事が良く見えるのさ。
かと言って、目線が俯瞰ではなくって地に足のついた、心と肌が触れ合っているリアルさが
この兄弟と敵たちを魅力的に映し出しまくっているのがいい。
鍋にされた父のために、跡を継ぐことに使命感を燃やす長兄(たぬき)の抜け作加減が
たまらないし、しかも一生懸命すぎて泣ける。次兄は父の死に関して思うことあり、蛙になって
物事を諦観する姿が哀愁漂うし、ラストの男気には惚れてしまう。三男坊の天狗様への
責任感と優しさは時にお間抜けで好感が持てるし、兄弟の事をいつも考えていて肝心な所では
いつも大活躍。小さくて未熟者の四男はあまり役には立たないけれどほのぼのさせてくれる。
実は気に入ったキャラは敵の「金閣・銀閣」兄弟。四文字熟語を操りきれていないのが
もうたまらん^^;;;いつも失敗するのに悪知恵だけはいっちょまえ。憎まれ口を叩いて
悪事を尽くすのに、嫌いになれないんですわ~~~。だって狸だし^^;;
弁天様もお高くとまっててなかなか^^。弁天と言えば「うる星やつら」の弁天様が
思い浮かぶので、映像イメージは完全に彼女でした。
とにかく、終始笑えるのに適所で必ずグッと来るのは深みのある証拠。父への愛、母への愛。
そして兄弟いつまでも仲良く、面白く。敵どもとはこれからも喧嘩を繰り返して行こう。
狸に栄光あれ。
最後に。狸萌え~~~~~~~~!!!!!
森見ワールド最高。どれが一番とか決め難いな。