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深泥丘奇談  (ねこ3.8匹)

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綾辻行人著。角川文庫。

ミステリ作家の「私」が住まう“もうひとつの京都”の裏側に潜み、ひそかに蠢動しつづける秘密めいたものたち。古い病室の壁に、丘の向こうの鉄路に、長びく雨の日に、送り火の夜に…面妖にして魅惑的な怪異の数々が「私」の(そして読者の)日常を侵蝕し、見慣れた風景を一変させる。―『Another』の著者が贈る、無類の怪談小説集!(裏表紙引用)
 
20.3.31再読書き直し(再再読)。
 
館シリーズ、「another」シリーズと並んですっかり綾辻さんの代表作の一つとなった深泥丘奇談シリーズ。改めて読むと、「雰囲気一本押し」の小説だったんだなあということがよくわかる(褒めてます)。
 
登場人物は深泥丘の町に暮らすミステリ作家とその妻、深泥丘病院の医師石倉(一)、石倉(二)、石倉(三)、看護師咲谷さん。主人公がしばらく前から原因不明の「眩暈」におそわれ、深泥丘病院に通うことになった。そして病院や町では不思議で恐ろしい出来事が起こり…。
 
恐ろしい出来事と言っても主人公の幻覚っぽいなと思わせる描写が良い。昔からその町に住んでいるはずなのに、路線のことや言い伝えのことをすっかり忘れていたり、おかしな幻聴に悩まされたり。橋の欄干からぶら下がる死体や送り火に悲鳴をあげる人々、病院の壁に現れる人面など、とにかく怖い。幻覚でも怖い。それでいて、淡々としている感じがまた幻想的で良いんだな。絶対に口にしてはいけない※※※※※が結構好き。
中にはアンソロジー用に描かれたと知って納得したミステリ仕立ての話が浮いてたりもするけど。
 
さてさて、続くという続はどうなっておりますか(忘れ切っている)。