すべてが猫になる

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収穫祭  (ねこ3.7匹)

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西澤保彦著。幻冬舎


1982年、8月17日、夜。暴風雨の首尾木村北西区で、ほとんどの村民が虐殺される大量殺人の
発生が警察に伝えられる。しかし悪天候と現場に通じる2脚の橋が流れたため地区は孤立、警察の
到着は翌日になってからだった。かろうじて生き延びたのは中学3年の少年少女3人と彼らが
通う分校の教諭ひとり。被害者は、3人の家族ら14名で、そのうち11人が鎌で喉を掻き切られて
いた。不明な点もあったが、犯人は、事件当日、逃走後に事故死した英会話教室の外国人講師と
断定されたーーーー。そして9年後、ひとりのフリーライターが生き残った者たちへの取材を
開始するや、ふたたび猟奇的な殺人事件が起こる。(あらすじ引用)



ハードカバー二段組約600ページの大作。
1日で読み切ると大法螺を吹きましたが、3日で読めたのはなかなかの健闘では^^;
で、その感想は。


もうちょっと、エロがもっとエロいと思ってたんだよね~~~~~~~~~~~~~~~^^;;;
どこかで西村寿行に喩えてらした方がいらしたと思うんですが、寿行どころか笹沢佐保にすら
及ばないほどの、この「もの凄いエログロを描いているのにエロくなさ」^^;;
おいら、いつ引く程の展開になるかと待っていたのですが、既に通過していた模様。。
一番期待していたのはそこ……あ、これ以上書くとよもさんに嫌われるのでやめておこう。。


第一部の、八つ墓村も顔負けの大量虐殺には興奮しました。これぐらいやってくれないと、
第一部終盤の生き残った人々の恐怖感をあそこまで煽れなかったと思うと同時に、
自分があの恐ろしい人物の登場に驚けなかったと思うので。最初はいつ金田一耕助
出て来てもおかしくない雰囲気だったけど。(あ、彼はどのみち事件後の登場か^^;;)

で、第二部以降、なぜ自分のテンションが下がったかと言うと、さっきの発言と矛盾しますが
おいらは『事件は現場で起きているんだ!(By織田裕二)』という小説の方が
好きだからです。。。数年前に起こった事件を回想し真実を洗い直す、という体裁は
この物語では必然的なもので、それはいいのですが、それならばこそ第四部の『現場』を
映し出すという構成が余計なものに見えてしまいました。
『過去』→『現在』→『過去』→『現在』という二重構成ならば引き立ったかもしれませんが。


肝心の事件の真相ですが、インパクトはあるし面白いけれど、これも前述した理由で
「いきなりすぎる」きらいがあります。第一部が大好きだっただけに、長丁場の
第二部、第三部の後ではあの恐怖感が少し冷め気味になっている為自分がノレない。



さて、文句ばっかり書いてる気がしますが、面白さは抜群。
ぷちエロ要素が余分だった気がするのが残念というだけ。え、しつこい?
いや、だって、おいらみたくその要素がいちいち気になってたらそりゃ読めないよ、これ^^;
それで成立させている作品なんだから。