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伊集院大介の冒険  (ねこ3.8匹)

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栗本薫著。講談社文庫。



姉貴からの粋な計らいにより、「伊集院大介・早わかりセット」といふものを
贈呈いただきました^^vぱちぱち。この作家さん自体読むのが初めてです。
あらすじによると、「ご存知名探偵」とありますが、すいません、33年ミステリマニアとして
生きて来てまったく知りませんでした^^;;ははは^^;;
そもそも、栗本薫さん自体「高村なにがし」「北村なにがし」と区別が付きにくく、
今回作家名を変換する時も「栗」で合っているかどうか確認するというとほほ状態。


では、そのどきどきな感想を。

昭和61年初版(文庫が)、という事で、少々文中に「ナウい」などという言葉が使われていますが
基本的には時代が古いという事がマイナスではなく、プラスに働いて読める印象。
登場人物の昼ドラのような「熱さ」や「一途さ」はひと昔前のもので、いまどき家族が抱き合って
愛情を確かめ合ったり、背中で哀愁を見せて去る名探偵もなかろう、と本来ならば
受け入れにくいものだと思うんですが。
何が良いかというと、会話がコミカルで内容が硬派。
伊集院大介の印象はもろ推理方法がシャーロック・ホームズで、外見は特にファッションセンスが
いいとか、すれ違う女性が振り返るような美形、というものではなく、ごく普通のよう。
奇抜でなくとも、文章で惹き付けてくれる作家さんの方が私はいい。
トリックもそれほど芸術的でなくとも、小説としての技術が必要な人間ドラマを
描いたものの方が充実感がある。その両方を兼ね揃えているのは島田荘司かもしれませんが、
小説とは言え御手洗潔とこの伊集院大介は別の人間なのだから比べて読むものではないと
思うんですよ。



気になったのは、本作は短編集のため、3話目でいきなり伊集院大介が探偵事務所を
開いていたりするので少々戸惑いました。もしかして、この間に他に何か作品があるのか。。。
むむう、これはシリーズを揃えなくては。既に姉貴の思う壷になって来たぞな。。