二階堂黎人著。講談社文庫。
人狼城殺人事件の怪異に満ちた謎のすべてが、名探偵・二階堂蘭子の冷徹な論理によってついに
解き明かされる。死屍累々たる惨劇の舞台<人狼城>で、蘭子を迎えた真犯人とは?その想像を
絶する殺人動機とは?そして不可能を可能ならしめた驚天動地の大トリックとは!?本格推理小説の
金字塔、華麗なる完結!(裏表紙引用)
たりらりら~~~ん。苦節○日、遂にこの日を迎えました。読了です!
物語としての感動よりも、読み終わった事がまず満足というよもさんの含蓄あるお言葉も
今なら身にしみてわかります。
思えば色々ありました。「ドイツ編」のプロローグに怯えたあの夜。ど派手なクライマックスに吠えた
あの瞬間。「フランス編」の惨劇に震えた事も。伏線を見つけた気になり浮かれたあのページも。
「探偵編」での蘭子のまばゆいばかりの独断場にムッとした事も。今ではすべていい思い出です。
この「完結編」は終始蘭子の論理に次ぐ論理と、「敵側」との駆け引きで構成されていて
最高傑作の「ドイツ編」に次ぐ面白さでした。中でも「人狼城の秘密」といったら……!!
そうです、自分が求めていたトリックはコレです!盛り上げるための演出も素晴らしかったし、
非現実的さがさらにこのオカルトな雰囲気を増長してくれて涎が溢れ出て止まりません。
そして、犯人のこの悪魔っぷり!この非人道的な発想と実行力は、かつて読んだ『双頭の悪魔』や
『八つ墓村』の犯人が爽やかに思えるほどです。
確かに今読むと、どこかであるようなトリックと動機の寄せ集めにオリジナル少々、という
印象もありましたけども。でも面白いからいいや、ってなもんで。だいたい、ここまで
壮大なミステリーを描いた二階堂さんを尊敬せずにはいられません。
満足、その一語に尽きます。本当に面白かった。私のフェイバリット本格ミステリー、
『十角館の殺人』『七回死んだ男』『占星術殺人事件』『頼子のために』等等に名を連ねても
遜色はないかなぐらいには思えますね。
お疲れ自分。皆さんもご声援ありがとうございました~v