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聖アウスラ修道院の惨劇 (ねこ3匹)

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二階堂黎人著。講談社文庫。


二階堂蘭子シリーズ第2弾~。

蘭子と黎人の二人は、長野県野尻湖畔にある聖アウスラ修道院を訪れた。
昨年この修道院で起こった、尼僧の塔での密室殺人の謎解明を依頼されたのである。
折しもその時期、修道院側の桜の枝で裸で逆さに吊るされた神父の首無し死体が
発見されていた。二つの事件の関連は!?
そして、新たな惨劇が繰り返されーー。


600ページの大作なので、多少退屈な箇所が前半~中盤に多いのは仕方がないとして。
高校生の素人探偵に、一介の修道院長が捜査を依頼するのはどないやねんというつっこみも
おいときまして。

総合的には面白いの一語に尽きますね。
舞台が大掛かりで、殺人も陰惨で、カーを彷彿とさせる雰囲気+独自のエッセンスもあって。

正直、トリックに関してはそんなにすげー!とも思えないのですが。
暗号文も、へーえ、という程度でしたし。(元々、暗号ものは苦手なわたし)
それよりも、ストーリーの派手さが好きです(笑)
映像で観たくなるような崩壊ぶりが。。。いいぞもっと燃えろもっと流れろもっと
壊れろもっと雷落ちろという(ごっちゃになってる)感じでしょうか。
私が一番読み応えがあったのは、殺人事件の方ではなく、
修道院そのものに隠された秘密の方。なんて派手でエキセントリックなんでしょう^^;。


余談ですが、二階堂氏がサイトで本作を自画自賛^^;していることに驚きました。
氏曰く、最初に蘭子が提示した推理の方が、ご自身がほんとに書きたかった真相だそうで。
ふふふ、もしそうしていたら私、間違いなく壁に投げてましたよ。。

そして蘭子さんについて。
うーん、やっぱり嫌いじゃない。女性探偵、女性キャラって(男性作家が書くと)どうしても
「カンがいいけど、ちょっとおっちょこちょい、感情的」みたいな「女は馬鹿な方がいい」という
願望が前面に出ているものじゃないですか。それが気に食わなかったんですけど、
蘭子さんは風貌が奇抜なだけで正真正銘のクール、博識、じゃないですか。
情が薄そうなのがタマに傷、ですが。
ただ、現実にいて横でいちいち「カーの作品『髑髏城』によると~」とかやられると
うざそうな。

ところで、黎人くんって存在感なさすぎですね。