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ROMMY ー越境者の夢ー (ねこ4匹)

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講談社文庫。


1980年代。日本を代表するトップシンガー、ROMMYが存在した。
奇抜なメイクに舞台衣装、寓話的な詩とポップな音楽、大衆は皆彼女に酔いしれた。
ある日、ROMMYは世界的なトップシンガー、FMを招きレコーディングを行うことになる。
だが、彼女がトップスターに会う事は叶わぬ夢となった。
レコーディング当日、スタジオの仮眠室で死体となって発見されたのであるーーー。
孤高の天才シンガーの過去とは!?


夢中で読みふけり、ほとんどノンストップで読みきった作品。
あまり豪語すると重みがなくなりますが、これぞ究極の愛情物語。ここまで
無償で誰かの為に尽くし、誰かの立場に立って生きられる、そんなパートナーに
出会える人間がこの世にどれだけいるでしょうか。
自分は、例えば相手が車の前に飛び出したら突き飛ばして代わりに死んであげる、
と思えても、自分の人生を犠牲にして相手の為に生きる事は考えられません。
それが愛情の(友情も家族愛も含め)最高の形なのかどうかはともかく、
物語としては最高の形。

しかーし。ミステリとしてはちょっとどうでしょう。

※皆さんのご意見も拝聴したいので、以下ネタバレします。未読の方はご注意下さい。















ROMMYが生物学上男性であり、性転換して女性になった。それはいいです。
しかし、伏線と呼ぶにはあまりにもあからさまな記述が多すぎる気がしました。
裏表紙のあらすじの「彼女」という部分を強調していたり、ROMMYの過去を知る
友人が、裕美の性別を断定できない言い回しをしていたり。ここまで来ると、
「30代の女性のホームレスがいてよかった」というくだりでもう確信に近いものが
ありました。
あと、「裕美」という名前は主に女性名を連想させますが、自分の兄も一字違うだけの
一般的な女性名なので障害とはなりませんでした。
おかしな苦情ですが、フェアすぎるというのでしょうか。

中村=茜澤、というのも明かすのが早すぎる気がしたし。。。

あ、いえ、別に文句ではないのですが^^;
皆さんはいかがでしたでしょう?この作品。