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虚構推理 逆襲と敗北の日  (ねこ3.8匹)

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城平京著。講談社タイガ

「それは巨大で、凶暴で、獰猛で、何より場違いな幽霊だった」 警察に呼び出された琴子と九郎。二人と因縁深い桜川六花が、奇妙な連続転落死事件に居合わせ、容疑者になっているという。 六花が二人を前に語ったのは、異郷の野獣キリンの霊による殺戮劇だった。琴子たちは彼女の無実を証明すべく調査を始め、事件の背後にある悍ましい「呪い」の存在を知ることとなるーー。(裏表紙引用)
 
シリーズ第5弾。
新年一発目の本は、絶対に失敗しないものをということで買ってからあっためていたこちらを。
 
一話目の「見たのは何か」だけが短編で、こちらは琴子が六花と共に死体移動させられた殺人事件の謎を解くというもの。六花が激辛坦々麺チャレンジをしたり、琴子が九郎のために五種類の下着を用意したりと横道も楽しみつつ。こちらもサっと流し読みするにはもったいないぐらい凝ったミステリではあるものの、動機の異常さのほうが際立つ感じ。何も持たない者は暴力を行使し何者かになれた気でいる、というのは現実の犯罪者への皮肉か。
 
ここからが本題。
キャンプ中に巨大キリンに襲われた大学生グループの生き残りをたまたま居合わせた六花が助けたことで事件に関わっていくミステリー。この生き残りも一度六花を殺していたり以前その山で女子大生が死んでいたり死んだ大学生のカバンから瓶詰めの手記が出てきたりとなかなかにややこしい。琴子の虚構推理と合わせて真実の推理もあるので、毎度ながらこのへんは流し読み。追いかけてくるキリンなんかは凄い迫力なんだけど、本書の重要なところは事件そのものじゃないなーって。
 
九郎が実は琴子を大事に思っているのは分かった。でも最終的に琴子は九郎や六花を殺すことになるのか、九郎と六花の能力を消滅させるほうにシフトするのか、、知恵の神としての琴子の運命はいかに。外れた義足や義眼の夢は現実の未来なのか。いよいよラストスパートかな。