すべてが猫になる

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全裸刑事チャーリー  (ねこ3.8匹)

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七尾与史著。宝島社。

ヌーディスト法が施行された日本で、全国初の全裸刑事が登場した! ヌーディスト法が施行されて一年がたつ。人々の価値観が多様化してついに日本は、全裸生活を認めることとなった。反対勢力も強く、国会は揉めに揉めたがヌーディスト派である時の総理大臣が「全裸は究極のエコだ」と意味不明な理屈でごり押しして、彼は生まれたままの姿でヌーディスト法の施行を高らかに宣言したのである。それは警視庁も例外ではなく、全国初の全裸刑事が登場した――。 警部・茶理太郎、通称チャーリー。捜査一課強行犯第5係に属する全裸刑事が、事件を鮮やかに解決する! 書き下ろし含む、七尾ワールドが炸裂する全15編。(紹介文引用)
 
初・七尾さん。
苦手とするこのミス大賞受賞作家なので読むことはなさそうだと思っていたが、このたびこのような作品が出たと知り反射的に手を出してしまった。15編あるが2時間もあれば読めてしまう軽さである。どうも「5分で読めるミステリー」シリーズで連載?されていたものをまとめた本らしい。
 
下ネタやバカミスはソブケンなどで耐性があるので真顔で読めると思っていたが、ここまで振り切れているといっそ清々しい。よくこれだけの下ネタネームが思いつけるな、ということと、事件のありようから小道具、エピソードの数々まですべて下ネタで統一されているので笑う前に感心してしまうというか。上品、誠実を信条とするすべ猫の品格を保つためにもここにその例を出すつもりは全くないが。こういう真顔のレビューの存在は作者の意図するものではないだろうが、おバカと見せかけて相当頭が柔軟でクレバーでないとなかなかこのレベルに到達しないのでは。これがまあ良かったからと言って他の作品に手を出すことはない気がするので、作者の「これを代表作になんてしたくない」という希望は叶わない、かもしれない。少なくとも私にとっては一生「ああ、あの股間の作家さんね」にしておきたい。