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我ら荒野の七重奏  (ねこ3.6匹)

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加納朋子著。集英社文庫

山田陽子は一人息子の陽介を愛するワーキングマザー。トランペットに憧れ、中学では吹奏楽部に入部した陽介は、部活に勉強にと、青春の日々を送る。一方、中学生なんだし、そうそう親の出番もないだろう―そう思っていた陽子を待ち受けていたのは「吹奏楽部親の会」での戦いの日々だった…。部活を頑張る少年少女の陰で奮闘する親たちの姿を描く、笑いと涙の傑作エンターテインメント!(裏表紙引用)
 
「七人の敵がいる」の続編。
 
文芸編集者の陽子の息子・陽介ももう中学生。吹奏楽に目覚めた息子のために母親として奮闘するお話。
 
まあまず、吹奏楽部の保護者ってこんなにやることがいっぱいあるのかという驚き。私立だとまだ違うんだろうけど。演奏会の会場取りのために保護者が交替で二日前の昼から並ぶとは…正直引いたなあ。コントラバスやパーカッションの子の親が楽器を自腹で車で運んでいるというのもビックリしたし、指導者へビシビシ意見を言ったり演奏会当日のお花係だの玄関係だの…。それはいいとしても、ベルマーク集めで30人規模で半日かかって得られるのは2、3千円とは。。一人ずつ100円寄付したり働いたほうが有意義だという陽子の気持ちもわからんでもない。でも、その100円200円に困窮してる家庭もあるわけで、裕福でないほうの人に合わせるのはいつだって世の常だわね。生徒も遅刻したり忘れ物したりと、ちゃんとしてない人に合わせなきゃいけないもん。これはどんな団体でもそうよね。。役員の仕事も、生真面目な人が損をする。でも働いてたり忙しい人の事情も分かるしなあ~。保護者も我が子我が子だし、これを無償で、感謝もされず、一人でまとめなきゃいけないってどんな罰ゲームだ。
 
で、好き勝手な保護者たちを成敗していく話かと思ったら、実際陽子も結構モンスターペアレントの気質があるのでどうにも感情移入しづらかった。我が子への愛を説けば説くほど読んでてしらけちゃうっていうか。自分の子以外の子には全く興味がないって、そりゃ本音かもしれんが立場としてどうなの。でも、自分のためよりも子どものためのほうが頑張れるんじゃないかなと思うと、ちょっと羨ましい気持ちになったり。複雑なところ。
 
ところで自分は町内のポートボールチームに入っていたので、今思うとウチの母も毎日レモンのはちみつ漬けを作ってくれたり試合を見に来てくれたりユニフォームも有料だったろうしと色々申し訳なかったな~って気持ちになってしまった。。ラジオ体操にも休まず行く子だったから、差し入れのスイカをオカンが持ってきてくれて皆で食べたの覚えてる。。この小説の吹奏楽部の親に比べたらチョロかったかもしれんけど、やっぱ色々面倒だったろうなと思う。。今さらだけど感謝、感謝。