太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?(裏表紙引用)
シリーズ第6弾~。
いよいよ物語が佳境に入ってきたかな?
いきなり五浦くんが満身創痍状態で入院&智恵子登場というパンチの効いたプロローグにビックリ。なんでこうなったのか?ということで第一章に突入していく。栞子さんにとって暗い過去である田中から太宰のかなり珍しい書き込みがある「晩年」を探して欲しいという依頼が。そして47年前「ロマネスクの会」が起こしたと見られる太宰の稀覯本盗難事件も絡んで、複雑な人間模様が描かれていく。
今回は完全太宰一色。盗難事件のトリック&ビブリア古書堂に脅迫文を投げ込んだ人物は誰か、晩年を所持しているのは誰かなどなどミステリとしてはてんこ盛りの内容。正直、かなり混乱していつもみたいに夢中で読めなかった。身内が絡んでいるので苗字が色々被ってるんだよな。。信頼していた人間に裏切られる気持ちは分かるけど、犯罪を犯してまで稀覯本とやらを所持したい気持ちは全く分からない。知的でもなんでもない、欲と無意味な矜持だけの世界に嫌悪感が湧く。
そして五浦くんと栞子さんはラブラブモードのようだが、事件に精一杯であまり関係に進展がないのがもどかしいな。