すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

the SIX ザ・シックス  (ねこ3.5匹)

f:id:yukiaya1031jp:20190924193809j:plain

井上夢人著。集英社文庫

どうして僕らには不思議な能力があるのだろう?あした起きる出来事が見えてしまう8歳の少女、他人の心の声が聞こえてくる中学生の少年、周りにありとあらゆる昆虫が集まってくる4歳の女児…。自らの存在に悩む、小さく弱い選ばれし者たち。でも、一つになればきっと強くなれるんだ。能力に苦しみ、孤独に怯える6人の子どもたちの目に映る希望の光とは―。力強くもあたたかい感動連作。(裏表紙引用)
 
井上さんの連作短編集。こんなの出てたの知らなかった、出遅れた。「the TEAM」とは関係ないみたいね。
 
いずれも超能力を持つ子どもたちにスポットを当てたお話。あした起こることを絵に描くことができたり、身体から電流が出たり、虫を身体に集めることができたり、他人の怪我を治すことができたり。だけど皆その能力ゆえに疎外感や孤独を感じていて、やはりイジメに遭ったり悩みすぎて家出してしまったりする子が多い。週刊エタニティの記者たちが取材を兼ねて彼らに接触するうち、彼らの悩みが晴れて行ったり状況が改善したりするというのがだいたいのパターンかな。特に虫を集める少女のお話が良かった。虫の絵ヅラを想像してゾクっとなったけど、イジメをイジメで返すことの無意味さに気づけた少年がカッコ良く見えた。
 
基本感動ものなので凄くイイお話なのだけど、あっさり終わるのでそこが物足りないかな。大きな山場がないというか。意外性もなく、ほんとにストレートな感じ。ただ、能力というあたりは井上さんのお得意分野かなあ。最終話が蛇足だったと思う。超能力児全員合宿して「チョーズン6」って…なんかダサイ^^;
 
まあ、井上さんだと思って読まない方がいいかも。つまらなくはない。