森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができて、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ちこんだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる? (裏表紙引用）
うん、面白かった！
ずっと気になっていた本。大人向けのコバルト文庫みたいな感じ？でライトで読みやすかった。真面目で堅実な経理担当のOLさんが、同僚や上司、部下の不正を暴いていってタイトルの台詞で締めるお話なのかと期待していたけれど、結構違った。そもそもヒラの一従業員に経費で落とす落とさないを決める権限なんかないよね。
ヒロインが真面目で堅実というところは当たっているのだけど、皆が持ってくるクセあり領収書の全てが不正というわけでもない。どちらかというと、いい人がやってしまったちょっとダメなこと、みたいなノリのものが多いかな。受付嬢の咲とか別部署の希梨香とか全然いい人と思えんのだが。他人の目を意識して泣いて土下座とか頭くるってる。。私、「あの子も本当はいい子だから」ってやつ嫌いなのよね。伝家の宝刀みたいにその台詞出してくる人いるけど、いい子ならやらないと思う。
と、最初はそういうほっこりする結末みたいなものから始まり、だんだん一線を越えてしまう人も出てきたりする。森若さんも自分で「性格が悪い」と自称するようにどんどん腹黒い一面が見えてきたりしてそのあたりからは好感が持てるようになったな～。そして読まずに消してくれと言われたメールを森若さんが消したのに、皆で復活させるってそれどうなんだ。。プライベートな内容ぽいのに。ぽいから、かな？森若さんの、社内のゴシップや恋愛には興味がない、仕事とプライバシーは絶対分けるというポリシーがだんだん崩れて行ってしまったのは残念だけど、まあそれだと話が広がらないもんね。。ミステリーでもあり、お仕事小説でもあり、そして恋愛小説と言ったほうが正しいかな。
最後に。すごく気に入ったけど、彼氏いない歴＝年齢（２７歳）の真面目で堅実で地味で愛嬌のない女性に、社内のエース、モテ爽やかイケメンがゾッコンになるとかないから＾＾；；こういうところは少女マンガのノリなのかな？と思うけど、まあ森若さん美人って設定だからいいか。
