すべてが猫になる

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鉄の薔薇/La Rose de Fer (ねこ3.6匹)

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ブリジット・オベール著。堀茂樹訳。ハヤカワ文庫。

 

東西の壁が崩壊したあとナチの残党が暗躍するヨーロッパ。表向きは国際経営コンサルタント、裏ではプロの銀行強盗という二重生活を営むジョルジュは、銀行を襲うべく訪れたブリュッセルの街で、ジュネーブの自宅にいるはずの愛妻が他の男と腕を組んで歩いているのを見かける。その瞬間から、彼は思いもよらぬ謎の世界に巻き込まれ、命を狙われていく…。虚実ないまぜのスピーディなストーリー展開で一気に読ませる快作。(裏表紙引用)

 


オベール4冊目。ブリジット・オベールってこんなんだっけ?^^;スリラー系が読みたくて手を付けたのに、読んだらなんかハリウッド系冒険サスペンスみたいな小説だった。ファン評価は一番だと言うし、面白いのは面白いってのは分かるが…気分に合わずめちゃ時間かかった。。。

 

なんと言ってもストーリーがややこしい。銀行強盗をやってる主人公ジョルジュには彼が犯罪者だということを知らない妻(マルタ)がいて、ブリュッセルでお仕事をしている最中に居るはずのない妻を目撃したジョルジュは動揺して些細な失敗をしてしまい仲間を怒らせ、あれよあれよという間に何らかの陰謀により裏切り者の烙印を押され仲間や謎の組織に追われることになり、妻は妻で怪しい人物と関わっているし名前は違うし後半からさらに新たな事実が判明して…という、これだけでも内容の半分^^;スリルだけは充分にあった。ジョルジュの周りの誰が裏切り者なのか、全員裏切り者なのか、ジョルジュともう1人のある人物は何者なのか、妻マルタの正体とは?とてんこ盛り。

 

ラストで驚愕の事実が判明する部分はまあ、出版当時なら驚いたかもしれないというぐらい。ジョルジュ気の毒すぎると同情の念を禁じ得なかったが、ラストの1ページで報われた。このラストだけで、ああブリジット・オベールおかえりなさいという安心感。


ところで、次作はくだんの「ジャクソンヴィルの闇」なんだけどどう考えてもGがキモそうなので飛ばします。