すべてが猫になる

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星読島に星は流れた  (ねこ3.8匹)

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天文学者ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎回驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ。犯人は、この六人のなかにいる! (裏表紙引用)

 


トリックスターズ」シリーズで人気の久住さんが創元で本格ミステリを描いたということで文庫化を心待ちにしていた作品。タイトル素敵よね。「トリック~」は1だけ読んだことあるけど昔すぎて覚えていない。面白かった記憶だけはある。というわけなので、文章はほんのりラノベ風だしキャラクターも立っていてなかなかいい。登場人物のほとんどが外国人だから覚えにくいかもしれないけど。星読館の主人、サラの造形がどうしても真賀田四季と被るのが気になったぐらい。語り手の加藤がやたらモテるのもちょっと疑問だったり。

 

本格ミステリとしても丁寧に作られていて、(推理の組立が甘いかなという部分も少しはあったものの)
久住さんの力量をひしひしと感じる。隕石が落ちてくる島という舞台装置が独特で面白いのでこれでロジックの方も凄かったらたいしたものだと思ったが、少なくとも期待以下ではなかった。ペットボトルを各所から落として戻ってくるのはどれかという実験も興味深かったし、隕石=大金、という裏事情が推理の面でも人間の奥深さを増したと思う。静かな激情っていうのが一番ゾっとするね。

 

隕石が落ちてくるというこのお話を、島田荘司氏ならどう料理するかなあ。全然違ったものになりそう。