ミネット・ウォルターズ著。成川裕子訳。創元推理文庫。
1920年冬、エルシーは教会で純朴な青年に声をかけた。恋人となった彼が4年後に彼女を切り刻むなどと、だれに予想できただろう―。英国で実際に起きた殺人事件をもとにした「養鶏場の殺人」と、強盗殺害事件を通して、小さなコミュニティーにおける偏見がいかにして悲惨な出来事を招いたかを描く「火口箱」を収録。現代英国ミステリの女王が実力を遺憾なく発揮した傑作中編集。(裏表紙引用)
ミネット・ウォルターズ二冊目。ずっと気になっていた中編集を。
「養鶏場の殺人」
1924年にイギリスで実際に起きた殺人事件を小説化したものらしい。不器量で、癇癪持ちのもてない女性が結婚を焦り、婚約者である男に嫌われ疎まれるまでの一部始終が描かれている。弟、妹が先に結婚するのが耐えられないというのと、年齢的に(と言っても20半ば~。当時は行き遅れ扱いだったのかな)焦る気持ちは全く分からないわけではないが。。。必死さが哀れ。結婚を迫れば迫るほど嫌われるというのに。男も男で、若すぎて仕事が全く出来ない上に周囲に流されすぎ。それにしても、本当のところはどうだったのだろう。男が本当に殺したのだろうか。状況的にはそうなんだろうけれど。手紙のやり取りがリアルだったし、後に引けない底なし沼に嵌っていく過程がホラーのようで面白かった。
1924年にイギリスで実際に起きた殺人事件を小説化したものらしい。不器量で、癇癪持ちのもてない女性が結婚を焦り、婚約者である男に嫌われ疎まれるまでの一部始終が描かれている。弟、妹が先に結婚するのが耐えられないというのと、年齢的に(と言っても20半ば~。当時は行き遅れ扱いだったのかな)焦る気持ちは全く分からないわけではないが。。。必死さが哀れ。結婚を迫れば迫るほど嫌われるというのに。男も男で、若すぎて仕事が全く出来ない上に周囲に流されすぎ。それにしても、本当のところはどうだったのだろう。男が本当に殺したのだろうか。状況的にはそうなんだろうけれど。手紙のやり取りがリアルだったし、後に引けない底なし沼に嵌っていく過程がホラーのようで面白かった。
「火口箱」
小さなコミュニティーにおける偏見の恐ろしさがテーマということで。隣人のうわさ話、偏見による誤解が積み重なった時、取り返しのつかない事態になるのだなあと。全部が全部誤解ではないと思うが^^;。他人って見た目や普段の性格だけでは分からないことがあるもんだ。
小さなコミュニティーにおける偏見の恐ろしさがテーマということで。隣人のうわさ話、偏見による誤解が積み重なった時、取り返しのつかない事態になるのだなあと。全部が全部誤解ではないと思うが^^;。他人って見た目や普段の性格だけでは分からないことがあるもんだ。
どちらも人間心理を巧みに描いていて素晴らしかったが、面白さでは「養鶏場」、出来の良さでは「火口箱」だろうか。女性作家らしく繊細な心理描写で、暗闇を描くのが達者。ミネット・ウォルターズという作家を知る入門書としてもこれは良いと思う。