すべてが猫になる

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空飛ぶ広報室  (ねこ3匹)

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不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。(裏表紙引用)

 

 

有川さんお得意の自衛隊ものだが、その「広報」にスポットを当てたお話ということで斬新さがある。ドラマ化の際、文庫化を打診されたらしいのだが「早すぎる」ということで有川さんは断ったのだとか。ドラマは観ていないが、キャストだけを見てみると新垣結衣ちゃんのリカがピッタリすぎて引いた(笑)。綾野剛=空井は全然全くちっともイメージと重ならないのだが。綾野剛がメソメソ泣いて女の子に頭撫でてもらうの?^^;犀川先生みたく「全然違うけど、これはこれでいい」のパターンだったのかな。

 

で、内容。うーん、ただでさえ自衛隊ものは好きではないのも手伝って、その広報ともなるともっと興味が持てなくてしんどかった。ラブ要素が控え目なだけに、フィクションとして完全に楽しみにくいというか。その割に、「戦闘機=人殺しの機械」と言い放つ元記者女子がヒロイン役で出てきたり、キャスターがテレビで「ホームレスになってでも自衛隊なんかに入りたくない」と言い放つシーンがあったりと、リアリティゼロ。これを「一般の人の感覚はこうです」ベースで物語を進めないで欲しかった。

 

好きだったのは、男まさりの柚木と槇の関係。女扱いされたくないからってオッサン化するってこれまた極端なキャラクターで笑ってしまうが。リカも最初は二度と来るなと思ったがだんだん自衛隊への理解が深まったせいで可愛い子になって好感度は上がったなー。記者会見の練習のシーンやCM撮りの裏話的なエピソードも多々あり、「なりたいものになれなくても別の何かになれる」などの胸に刺さるメッセージもあり、やはり物語作りは上手いなと思った。有川さんの、最近ちょっと押し付けがましい価値観さえどうにかしてくれれば。