すべてが猫になる

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境遇  (ねこ3匹)

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政治家の妻であり、息子のために描いた絵本『あおぞらリボン』がベストセラーとなった高倉陽子と、新聞記者の相田晴美は親友同士。共に幼いころ親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ。ある日、「息子を返してほしければ、真実を公表しろ」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。「真実」とは一体何なのか。そして犯人は…。絵本『あおぞらリボン』(作・みなとかなえ、絵・すやまゆうか)を特別収録。(裏表紙引用)

 


湊さんの文庫新刊。

 

今回は誘拐もの。読後知ったのだが、ドラマ化されたというかドラマ用に描かれた作品なのかな?ドラマの脚本のような文体のところがちょこちょこあった。

 

申し訳ないんだが、あまり面白くなかったなあ。誘拐ものの割に全く緊迫感がない。湊さんお得意の独白口調の章、今回ばかりは必要なかったのではないかな。誰に語っているのか知らないが丁寧語口調なので全然息子が誘拐された母親っぽくないというか。ちょっとくらいパニックになれよ。。。

 

うーん。楽しみにしてたのにあまり語ることがない。ミステリ的などんでん返しも完全に予想通りだったし、どうにもこうにも人物描写が甘い。女性2人は社会人にしては純粋すぎるし悪女サイド(秘書の亜紀さんとか姑とか)も振り切れてないというか物足りないというか。毒がどうの、テーマがどうの、独白がどうのじゃないんだ。全体に漂うこのどうしようもない「手抜き感」がどうしても嫌だったんだ。