すべてが猫になる

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カンタベリー・テイルズ  (ねこ3.6匹)

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真梨幸子著。講談社文庫。

 

カンタベリーへの道中、同じツアーの参加客が各自、とっておきの不思議な話を披露し合うことに。そこで見え隠れする男と女の接点。疑心暗鬼に陥った時、人は欲望をどこまで自制することができるのか?5つのパワースポットを軸に交錯する幸せと不幸をあぶり出した、イヤミスの臨界点! (裏表紙引用)

 


真梨さんの文庫新刊。「聖地巡礼」を改題したものなのでご注意を。でも元々はこちらのタイトルだったらしい。

 

内容は、短編集のような体裁で、全ての作品の登場人物がさりげなく繋がっているというもの。相変わらずのイヤミスぶりで精神をやられる。かつての美女が40代になり典型的な転落人生を歩んでいる姿を追い続ける女とか、親に洗脳され妻が極悪人だと信じ込まされる男とか、キツイなあ。エステティシャンが明かす、エステの実態とか知りたくなかったなあ。それぞれ全く別の人物の別の物語でありながら、どこかで事件と繋がっている仕組みなのがわかる。

 

しかし初期作品だからか、イヤミスぶりも「身近」ではなく「そんな奴いてへんやろ」レベルのものが多い。ミステリ的にもこれという決着はなく、仕掛けもないのが物足りなかった。ただイヤミス好きの読者には心をザラつかせてくれる何かが必ずあるかと。