すべてが猫になる

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僕と先生  (ねこ3.9匹)

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こわがりな大学生・二葉(でも、推理小説研究会所属!)と、ミステリ大好きな中学生・隼人が、日常に潜む謎を鮮やかに解決した『先生と僕』から、少し「おとな」になった二葉と、ますます頭脳が冴える隼人が帰ってきた! (紹介文引用)

 


「先生と僕」シリーズ(なんと紛らわしい^^;)の第二弾。気に入っていたということしか覚えていない^^;

 

レディバード
有名なショコラを買うためにデパートにやって来た二葉と隼人。そこで起きた詐欺事件に巻き込まれた2人だが…。坂木さんがこういうシリーズものの「往年の敵」みたいなキャラクターを作り出すとは意外だった。犯罪がしょぼいというか可愛いというか。

 

「優しい人」
茶店のマスターが自分に気があるかどうかを観察して欲しい、だなんてどんな先輩だ。ってことで、先輩がバイトをする店にやって来た二葉だが…。思っていたよりも重い真相だった。日常の謎ではあるけども、真実は非日常。あんまいいことだとは思えないけどね。人柄によるってことでしょ。その線引きは誰がするかっていったら人間の目なわけで。まあ法は万能ではないけども。

 

「差別と区別」
二葉の先輩が就職の面接を受けた。だが、面接当日に先輩は何者かにエントリーシートを破られ…。こういう優秀な人間が、こういうことをする矛盾。つくづく要領の良さと人間としての資質の高さは別なんだなあと思う。まあ、「かわいそう」ほど他人を傷付ける言葉はないと私も思う。悪気なくてもね。

 

「ないだけじゃない」
二葉が所属する推研のメンバーでバーベキュー大会が催された。隼人同伴で参加した二葉だが、バーベキューの串が現場から紛失してしまい…。一見なんてことのない事柄から始まったお話だが、内容は全国民に聞いて欲しいと思えるようなものだった。ウチのマンションにもいるよ、こういう考えの人。ただ、隼人くん。犯人に言い過ぎ。

 

「秋の肖像」
推研のポスターを貼らせてもらいに行ったラーメン屋。その店舗から見えるマンションのエントランスに貼ってあった’悪意’とは…。隼人くんの年齢では、正しいことを堂々と言いたくなるのはわかる。でもそううまくはいかないのが大人の世界であって。まあ、事件の関係者2人は話せば分かることだとは思うけど、何にでもそれが当てはまると思わないほうがいい。

 

「指先の理由」
これはオマケみたいなものかな。レディバードさん登場。こういうキャラクターを登場させるっていうことはまだまだシリーズは続くということで。


以上。
軽い日常の謎系だと思っていたらガツンとやられる、そういう坂木さんの作風が全面に押し出された素敵なシリーズ。本格系はロマンを求めるもの、日常系はリアルなもの。そう語る坂木さんの文章から、ライトミステリこそが読む者の人間力を試される性質を持っているのではないかと思った。大げさかな?