すべてが猫になる

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月の砂漠をさばさばと  (ねこ4匹)

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9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。お母さんはふと思います。いつか大きくなった時、今日のことを思い出すかな―。どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。(裏表紙引用)


北村さんのイラスト付き児童書。絵は「りぼん」で懐かしの、おーなり由子先生によるもの。当時この方の絵あまり好きじゃなかったんだけど、繊細でほのぼのとしたタッチがこのお話にとっても合っていた。小学生の「さきちゃん」と、作家のお母さんの日常がとても優しく温かい目線で理想的に描かれている。

 

毎晩「出来たて」のお話を聞かせてくれるお母さん、いいなあ。お母さんは、さきちゃんが普段話す言葉に対してとても優しく、真摯に向き合ってくれる。作家さんということもあると思うのだが、「神様は怒らないよ」などこういう言い方があるのか、と目を見張るものも。辛い時は寄り添ってくれるが間違った時は怒るのではなく諭してくれる。友だちの名前の漢字の説明が失礼だという言葉も正解だし、野良猫を構いたがるさきちゃんに対するお母さんの対応もただ「ダメだ」と言うのではないのがいいな。さきちゃんみたいな聞き分けのいい「良い子」っているかな?と思わなくもないが、馴染めてしまうのが北村世界の素敵さ。表題作である「月の~砂漠を~さ~ばさばと~鯖のみそ煮がゆ~きました~♫」の歌は、読者それぞれが想う通りのイメージで口ずさみたくなる名曲。