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あの女  (ねこ3.6匹)

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タワーマンションの最上階に暮らす売れっ子作家・珠美は人生の絶頂。一方、売れない作家桜子は安マンションで珠美を妬む日々。あの女さえいなければ―。ところが、珠美がマンションから転落。女たちの運命が逆転した…が、それは悲劇の始まりに過ぎなかった。次々現れる怪しい女、女、また女。女がいるところに平和なし。真梨ミステリの真骨頂! (裏表紙引用)

 


本書は単行本「四○一二号室」を改題したものだそうなのでご注意。真梨さんの文庫新刊は(もう数ヶ月経ってしまったが)相変わらずのイヤミス小説。女同士のドロドロした醜い嫉妬満載だ。

 

この物語には2人の女流小説家が登場する。1人は売れっ子、1人は売れないというまさに対照的な存在。この女がいなかったからと言って自分が売れるもんでもないと思うが、定石通りに売れない女流は売れっ子のほうに嫉妬する。それはもう身を焦がすような、もうちょっと落ち着きなはれアンタ、と言いたくなるほど憎んでいる状態。そんな売れない女流をさらに焚きつけるのが担当編集者。しかも、2人の担当が同じ人物という。この男性編集者もなんだか出世願望が強いだけじゃなく、どちらとも寝たり色々と気持ち悪いんだよな。ハイエナみたい。

 

が、その売れっ子女流がマンションから転落し植物状態になってしまうところからストーリーは飛躍する。立場が逆転し、売れない女流は売れっ子へ。売れっ子は意識だけはあるままの状態で病院をたらい回しにされる。

 

そんなこんなで事件は交錯し、意外な真相へ到達するのだが。それ、いらなかったかなあ、というぐらいのオチだった。伏線あったっけ?^^;女同士のドロドロと言っても我々の身近な感情というわけではなく、そこまで他人を意識して生きなくてもええんでない?と心配になるほど「変わった人間」の領域だったな。この作家さんは、主婦やOLを描いたほうが力を発揮するかもしれないなあ。まあ、読ませる力は凄かったけれど。