すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

小鳥を愛した容疑者  (ねこ3.8匹)

イメージ 1

大倉崇裕著。講談社文庫。

 

銃撃を受けて負傷した警視庁捜査一課の鬼警部補・須藤友三は、リハビリも兼ねて、容疑者のペットを保護する警視庁総務部総務課“動植物管理係”に配属された。そこでコンビを組むことになったのが、新米巡査の薄圭子。人間よりも動物を愛する薄巡査は、現場に残されたペットから、次々と名推理を披露する!(裏表紙引用)

 

 

大倉さんのこのシリーズは初めて読んだが、いやあ、面白かった。主人公が50歳の警部補ということで身構えてしまったが、相棒役が可愛らしい動物好きの女性ということもあってかむしろなごみ系癒し系コミカル系。元々捜査一課で殺人事件を担当していた須藤だが、犯罪者から受けた銃弾を頭部に受け、奇跡的に生還。しかし復帰するも、刑事としてのキャリアはなくなったも同然だった。須藤に新たに与えられたのは「警視庁総務部総務課課長代理心得」という「リハビリ」を名目とした事実上の生殺し状態。

 

ところがまあ、配属された動植物管理係ってのはいいところですな。動物についての知識と愛は誰にも負けない薄巡査のキャラクターもいいし、事件の推理と動物の習性が絶対的に絡みあっているところが最強。創元系のライトものだとここんところが雰囲気だけだったりするんだよな。常道のようにホームズ&ワトスンが惚れ合ったり依存し合ってたりしないところもいい。扱われている動物は決して「カワイイ」ものばかりではないけれど、ヘビとかフクロウとかカメとかに対する偏見は確かにあるなと少し反省。