すべてが猫になる

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眠れぬ夜の殺人  (ねこ3.7匹)

岡嶋二人著。講談社文庫。

ちょっとしたイザコザに巻き込まれ、逃げようとして相手の体に触れたとたん、その人は倒れ、打ち所が悪く……。大都会・東京ならではの、そんな殺人事件が連続発生。だが逮捕されなかった加害者には、死者からの脅迫状が届く!動き出したのは、警視庁刑事部のマル秘部外組織。はたして犯人は見つかるか!?(裏表紙引用)


未読の岡嶋作品になかなか面白いものが残っていた。
貫井徳郎氏の症候群シリーズの元ネタらしい。どのへんが元ネタかというと、やっぱり「マル秘部外組織」のメンバーの存在だろうね。それぞれ個性的・実力派・魅力的なメンバーが揃っていて親しみが持てる。少し非日常的というか、非現実的であってもゴレンジャー(古い)みたいなもんかと思えば悪くはない、むしろカッコイイ。

そういうキャラクター要素も面白味の一つであったが、サスペンスとしても秀逸な出来だった。最初は被害者・加害者含め登場人物が多すぎ混乱したものの、一見何の関係性もない似た事件の糸を繋ぎ、そこから新たな謎を提示して来るあたりがミソ。こういうお話かと思っていたら予想と全く違う方向へ向かう。
なるほど、こういう巧妙な犯罪を作り出したのかと感心すらした。
ストーリー的にも爆発や拉致や騙しがあったりと起伏が激しく楽しめる。最後の1ページまで退屈させない小説とはこういう作品のことだろう。