すべてが猫になる

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呪われた少女/The Mask  (ねこ3.7匹)

ディーン・R・クーンツ著。扶桑社ミステリー文庫。

深夜、路上で車にはねられた謎の美少女。あやうく彼女を轢きかけた精神科医のキャロルは、その少女を引き取り、彼女の記憶を呼びもどすための催眠療法を行うことになった。ある日、少女はだれかの名前を呼ぶ。さらに激しい苦痛に襲われながら、さらに別の二人の名前を叫び続ける。そして、家を揺るがすポルターガイストが……。少女の周辺で起こる出来事は、不吉で邪悪なものの存在を予感させる。いったい彼女は何者なのか?巨匠クーンツが人間の魂の奥底にひそむ怪物を描き切った衝撃のサスペンス・ホラー!(裏表紙引用)


どれ読んでもおもろいクーンツ。

本書は自宅の地下室で焼死した少女の呪いという設定で、養子を望むドクター夫妻が記憶喪失の少女(ジェーン)を預かるところからが物語の中心。この引き取られた少女がその焼死した少女だとは描いていないし、催眠術によっても複数の人格が現れどうやら展開は単純なものではないらしい。

しかし、最後まで読んでしまうとやっぱりその「単純」なほうが良かったのではないか、、と思った。複数の少女が乗り移る必然はあまり感じられず、ジェーン自体が悪魔に憑依された、という物語を読みたかった気がする。そもそもジェーンがとても良い子であるため、恐怖が緩和されているように感じた。展開自体がするすると進み退屈させないため面白さはあるが、ラストの駆け足すぎる終焉に物足りなさを感じる。良いお話だからなおさらのこと、「そして彼らは幸せに暮らしました」的な余韻が欲しかった。