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アクセス  (ねこ3.5匹)

誉田哲也著。新潮文庫

親友の死から立ち直るまもなく、可奈子の携帯が着信した。電源を切っても聞こえる押し殺した笑い声――「おまえが殺した」。毎日はフツーだった。そう、「2mb.net」を知るまでは。誰かを勧誘すればネットも携帯も無料というブロバイダに登録した高校生たちを、奇怪な事件が次々襲う。自殺、失踪、連続殺人……。仮想現実に巣くう「極限の悪意」相手の、壮絶なサバイバルが始まった!(裏表紙引用)


誉田さんの初期ホラーサスペンス長編。
題材がインターネット、携帯、イマドキの若者ということでわりかし好みだったかなー。珍しく吸血鬼ものでも刑事ものでもない。ホラーというよりはサスペンスの色が濃いので、あまり読み手を選ばないかも。

重要な登場人物は6人。ごく普通の高校生・可奈子。可奈子の親友・尚美。可奈子の母親・和泉。可奈子の従姉妹で不良だが美貌の少女・雪乃。雪乃の友人でアイドル並みの容姿を持つイマドキの少年・翔矢。翔矢のクラスメイトで、母親を惨殺した少年・喜多川。
このうちの若者5人にどういう接点があるかというと、携帯とネット料金が無料になるという怪しげなブロバイダ登録。こういうのに簡単に引っかかるのが若者って感じするんだなあ。。無料とか紹介とか、大人だったら99%怪しんで登録しないんだけど。(若者でもしっかりしてる子はたくさんいるが)もうあからさまに怪しいじゃん^^;たまにPCに来る迷惑メールとかも「お礼に2400万円差し上げます」とか多いでしょ・・・誰が騙されるか!(ρд´)ノ てかそういうレベルだよねえ。

ほんで、可奈子の従姉妹の雪乃なんだけど。。この子、だんだんいい子に見えてくるのに、最初がまずかったと思う。若いうちは不良でもいいんだよ。バカでもいいんだよ。でも、蕎麦アレルギーの可奈子の口に蕎麦を押し込もうとするとか・・・「でもそれだけはするな」っていう領域じゃん。これがなかったら
好印象だったのになあ。
最後のオチも理解しかねる。全くの無関係な子ならまだしも、自分の親友と天秤にかけて、一見美談だけどなんかおかしい。


美点は母と娘の愛と、どこまで読んでも先が気になる面白さ。軽いし後になんも残らないけど、その点に関しては誉田作品の中で1、2を争うぐらいかも。