すべてが猫になる

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埋み火  (ねこ3.5匹)

日明恩著。双葉文庫

老人世帯でつづく不可解な火事。住人は”不幸な偶然が重なって”焼死した。調査を始めた若手消防士・雄大は、老人たちの哀しい過去と、裏で糸を引く意外な人物を突き止めるが……。雄大の胸のすくような活躍が閉塞した世の中に風穴を開ける、人気シリーズ第2弾!(裏表紙引用)


「鎮火報」の続編。
前作は、新米消防士の雄大が同じ消防士として殉職した父親への思いやらなんやらと共に職務を通してこの仕事に対する「何か」などを見つけていく話だった。今回は父親への気持ちも吹っ切れた様子。が、「
本当は早く異動して9時5時のデスクワークがしたい」「消防士は責任感でやってるんじゃなくてあくまで公務員の仕事の一つ」というポリシーは変わっていない。でもそんな彼が憎たらしいキャラクターになっていないのは、「とか言いながら休日に現場に駆けつけ」ちゃったり、仕事は何が何でも一生懸命取り組んだりする、いわゆる若者らしい”偽悪者”だから。口調が相変わらずヤンキー上がりみたいなのはまあ味だからしょうがないけど、いまどき「ダチ」とか言うの?^^;今の子なら「ツレ」じゃない?


まあほんでもって、分厚い小説。消防士の規則や(ロッカーの使い方からなにから^^;)現場での市民との関係、火事や放火にまつわる知識が満載。読み物としてはダルイんだが、これを読んでいる間部屋のコンセントのホコリを確認したり色々気になってしまったぞ。ウチは石油ストーブもないし水槽もないけど、不安があるとしたら煙草だなあ^^;外出する前は必ず水につけてるんだけど、油断してはならぬ。

で、そういう感じでなかなか物語が進まない印象。老人の連続火災が全部同じ動機や事情っていうのがなあ、しつこい。。メインとなる事件はもちろんあるんだけどね。で、雄大がある事件をもとに中2の男子と友達になったりして。お母さんとの心の繋がりもあったりして。なかなか読ませるっちゃー読ませるんだけど、消防士が経験した事件としてはここまで長丁場にする必要もなかったかなーと。。青春ものを読み終わったときと同じ気分。

(575P/読書所要時間5:00)