すべてが猫になる

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見えない人影 -各務原氏の逆説  (ねこ3匹)

氷川透著。トクマ・ノベルス。

私は栗林晴美。どちらかというと無気力な今時の女子高生。私立秀青高校で何となく気になっていたサッカー部のマネージャーになったのは、インドア男の兄貴の生半可な知識が災いした。二年になって同じクラスの島本梓に誘われて、参考意見を述べたら、まんまと担ぎ上げられて、マネージャーになってしまったのだ。そして五月下旬のある日サッカー部のエースフォワードのリョーこと不破了介がインターハイを前にして失踪するという事件が起こったのだ。リョーはサッカー部の練習グラウンドのごく近くで発見された。あろうことか、リョーは血まみれになって死んでいた。どうも自殺の線はなさそうということで、軽音楽部の桑折君があの人に相談しようという。そうあの人とは用務員の各務原氏だった。(あらすじ引用)


今さら感ハンパないが氷川透氏の読みこぼし作品。何の効果もあげていない扉の倉木麻衣の歌詞が失笑を誘う。。奥付見たら発行が2005年だから。。もう氷川さんは作家活動をしてらっしゃらないのかな。
好きだったのになあ。1冊も文庫本が出ないままだったなあ。。

作風はラノベながらも文章のまわりくどいしつこさは相変わらずで思わず懐かしい。とは言えそこが個性でもあったわけだし、主人公を各務原氏もしくはワトスン役?桑折にしていれば違和感なかったのになあ。語り手の女の子の性格に表情がなくて魅力のなさ満点。終始繰り返される「私は無気力」という文章は逆効果にしかなっていない気がする。無気力と書けばキャラが無気力に見えるわけじゃないんだよね。優しいとか賢いと書いておけばキャラがそう見えるわけじゃないのと一緒。実際の言動や行動が無気力じゃなきゃ。

まあでも、ミステリ作品として見ると論理的でミステリファン向き。サッカー部という狭い世界での限定された可能性に特化しているから組み立てやすくもある。だからさ、不必要なキャラ立てって本格では邪魔なんだよな。自ら読者を狭めてしまうもん。