すべてが猫になる

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そこに、顔が  (ねこ3.6匹)

牧野修著。角川ホラー文庫

「そこに、顔が」そんな言葉を残して、大学教授だった高橋の父が自殺した。遺品整理で見つけた父の日記には、不気味な人体実験の経緯と、黒い影のような<顔>につきまとわれる妄想が書かれていた。その時ふと背後に、何かの気配を感じる高橋。さらに父と同様、邪悪な<顔>にとりつかれた人々が次々と現れて!?果てしなく連鎖していく、死への欲動と爛れるような悪意。その<顔>を見たものは、必ず死ぬ――!戦慄のリアルホラー!!(裏表紙引用)


「首ざぶとん」の横にあったのでついでに買った本。牧野さんは・・・多分ちゃんと1冊では読んだことがない。よく見る名前なので、それなりの中堅というかベテランなんだろうなーと。

基本的には幽霊もののホラーなんだけど、視点がコロコロ変わり登場人物が多めなのが特徴。だいたい妙齢の男性ばかりだし名前も平凡なので区別が付けづらかった。父と息子で苗字が違ったりするし。で、どの人物も「顔」の妄想にとりつかれてちょっとヘンになってる。それでもなんだかしっかりした感じを受けるのは、動物実験に絡む残虐な研究の謎であったり、死者の日記が挿入されたり、少しミステリ寄りになっていたりと様々な角度で楽しめるから。幽霊をただの幽霊ですとしないあたりも興味深いしかと言って専門知識で突っ走るようなところもないし。

怖さは薄めかと思うけど、ホラーにありがちなラストでもないしまとまりよくスッキリ読み終われるのでは。