すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

封じられた街  (ねこ3.8匹)

イメージ 1

沢村鐵著。ポプラ社

謎めいた影が街を支配する……
戦慄のジュブナイル・ホラーどこか違和感がある、居心地の悪い街。時折現れる不気味な背中の影と、ひそかに信仰を集める「もののべ様」、次々に作られる落ち葉のオブジェ、いなくなる子どもたち……。事件に巻き込まれた少年と少女が、真相にせまる! ボリュームたっぷりのダーク・ファンタジー。(あらすじ引用)


ジュブナイルでございます。ポプラ社の、「TEENS' ENTERTAINMENT」っていう叢書。このシリーズは二冊(「北風のポリフォニー」「薄氷(うすらい)のディープシャドウ」)で完結するのでご注意。一冊目「北風~」は、しっかり者の小学生・「おふみ」ちゃんを中心に、中西市で起きる不気味なことごとを
仲間たちと共に体験していくホラー仕立て。この街は人がお互いに無関心で、「なにかおかしい」ってことを子供ながらに気付いている。大人がおかしいと、子供は影響を受けるんだよねー。まあそれはいわゆる怪異が原因でもあるのだけど、お互いを尊重する心や子供を信じる気持ちなどなど、多くのメッセージが込められているから大人にも充分に読める。

二冊目は、あるおかしな謎が判明してから、「北風~」で力を合わせた子供たち(+犬)がさらに大きな問題に立ち向かって行く展開。ホラーとして考えたら、「北風~」のほうがその要素は強い。「薄氷~」はさらにメッセージ性が高く、冒険ものと言ってもいいんじゃないかぐらいの勢い。困難に立ち向かって、自分を信じて行くってこと。政治家であったり、教師であったりと、その大人の器に惑わされずその人自身を見抜こうとする子供の姿にまっすぐなものが見える。

さっくさく~、と読みやすいしホラーが苦手な人でも大丈夫かな。基本あまりジュブナイルは好まないけどツマンナイ大人の読み物読むぐらいならコッチに時間使いたいなー。