すべてが猫になる

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夜行観覧車  (ねこ3.7匹)

湊かなえ著。双葉社

父親が被害者で母親が加害者――。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。(紹介文引用)


およ、これは久々に面白~~く読めたぞ。力量が上がっているとか、作風を変えて来ているとかでは全くないのだが(酷)スラスラと面白いぞ。でももうそろそろ「告白」の呪縛から逃れさせてあげてもいいんでないかい。いつも同じ作風、告白を越えない、と言われ続けているとさすがに同じ事言ってた自分も気の毒になって来た。作風を変えないのも一つのスタイルだし、面白さだけでもキープ出来る作家が他にどれぐらい居るよ?と思うと。あっちゃこちゃの題材に手を出して面白くない作家よりはいいよ。


しかし、ドロドロの人間関係、理解不能の壊れたキャラクター目白押しでイライラムカムカするのは相変わらず。今の時代って、こういうの求められていない気がするんだけど、、売れてるってことは自分の眼鏡違いか?というのは、ここにある歪んだ人間像が「どこかにこういう人居そう」止まりでしかないから。実名を挙げて比較するのもナンだが、東野圭吾氏の作品ならば「間違ってるけど、我が身だったら・・・」と考える事が出来るし、辻村深月氏のキャラクターならば「自分の中にある腹黒な心」を投影する事が出来る。湊さんの描くキャラクターは、どこか現実離れしていて不快になるだけなんだよね。
いや、確実にこういう人々はどこかに居るんだけど、「自分には関係ない」レベルって言えばいいのかな。明日は我が身と言うけれど。

あとは物語の収拾のつけ方。無理に「いい感じ」にするぐらいなら、絶望させるぐらいのほうがいい。それだったら、上記した作品への不満も水に流せるほどなのに。


(331P/読書所要時間2:30)