すべてが猫になる

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災園  (ねこ3.8匹)

三津田信三著。光文社文庫

幼くして養父母を亡くした奈津江は、実姉と名乗る祭深咲に伴われ、実父経営する施設<祭園>に引き取られた。そこに暮らす訳ありの少年少女たち。廃屋と化した<廻り家>と呼ばれる奇怪な祈祷所。得体の知れない何かが潜む暗い森……。奈津江の出生の秘密が明かされるとき、惨劇は幕を開ける――。閉鎖空間に渦巻く怪異と謎を描く、<家>シリーズ三部作最終章!(裏表紙引用)


えええ~~~っっ;;最終作なの!?このシリーズ一番すきだったのにぃ。
・・・というわけで、今だに誰も記事にしない三津田さんの書き下ろし<家>シリーズ新刊を読了。

いやあ、やっぱり面白いわ。読みやすいし怪談怪談してて好みだわ。肝試しのシーンが長いのも三津田さんならアリだわ。ミステリ要素も軽くはないし、もう少し文章を堅くすれば単行本でも読み応えがあるかも?

・・・と最初に褒めちぎっておくが、大きな欠点があったことも素通りしがたい。多くの読書家さんも指摘している通り、主人公の少女の年齢が6歳というのはあまりにも有り得ない。「なっちゃんは普通の子より賢い」というレベルではないと誰しもが思うぐらいませすぎ言葉を知りすぎている。物分りも良過ぎるし、勇敢すぎる。大人と対等に物事を見られるこういう子が、子供向けのミステリーが読めないというのも違和感ありあり。他の子供たちが個性があって子供らしい子供なだけに、これも<能力>の1つだと言うのだろうか?
あと、奈津江の母の秘密についてはかなり早い段階で想像がついた。女性じゃなくてもあの人物の奈津江に対する態度の描写で、誰しもピンと来るのではないか?

というような不満もあるにはあるが、ラストの事実については確かに盲点だったし終わり方もいい雰囲気。実はシリーズ中では1番目くらいに気に入った。血縁関係のどろどろ+怪異ってすきなんだよね。


(418P/読書所要時間3:00)