すべてが猫になる

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新・新本格もどき  (ねこ3.8匹)

霧舎巧著。講談社ノベルス

霧舎巧新本格の名品をふたたび「もどく」。
記憶喪失が治ったはずの探偵・吉田さん。しかし、かわりに失ってしまった仲間との思い出を呼び覚まさんと、看護師・上岡エリがなりきり名探偵となって、吉田さんを彼女の相棒に指名する!ミステリマニアのてんぷら屋の大将、コスプレマニアのエリの姉・姿子。まとまりのないメンバーとともに、探偵コンビが怪しげな組織の陰謀を華麗な推理でサックリ解決!?二階堂黎人森博嗣北村薫西澤保彦芦辺拓麻耶雄嵩、オリジナル作者公認、新本格ファンもどきどきの霧舎ワールド、全開!満を持して作者が自らを「もどい」た新作書き下ろしも収録!!(裏表紙引用)


ここ1年あまりで、麻耶さんも霧舎さんも倉知さんも復活してめでたいやね。量産しすぎてレベルが下がるのもお断りだけど、大ファンとしては年に1、2作は作品を読ませて欲しいのだよ。でないと忘れちゃうよ。

というわけで、めでたき霧舎新刊はファンにもファンでないミステリマニアにも評判の良かった「新本格もどき」第二弾!!「セカンドシーズン」ということで、新本格第二世代の作家陣。どうよこの豪華な顔ぶれ(本物じゃないけど、笑)。ちゃんと帯にも本歌の方々からコメントが寄せられてて笑える。

今回はすべての作品が収録順通りに繋がっているので、絶対順番通りに読まないといけない。次の事件はたまた次の次の事件への伏線になっているからね。純粋なミステリとしてのレベルはなかなかにまあまあ。霧舎さんはあとがきやまえがきなどで本歌と比べご自分を謙遜してらっしゃるけど、単独のミステリ短篇として見ても他作家と比べて遜色ないと思うのよ。確かにこの中に埋もれちゃうと<あかずの扉>シリーズは知名度がないけどさ^^;こんな本読む人買う人って、霧舎さんが好きだと思うしね。

そんなわけでそれぞれのもどきを楽しめたわけだが、はっきり言ってこういう企画ものはシャレで読むべきで、いっそ「私は全部元ネタ知ってるもんね、フフフ」という態度で臨むのが正解だと思うのだ。身内だけで盛り上がって、他者と壁を作るつもりが実は疎外されてることも気付かないぐらいイキって読むべきなのだ。結局、それぐらいマニアックな作品だってこと。麻耶さんのなんて、全作品に目を通してないとウケるわけないだろ。。。

ちなみに気に入ったのは、トリックが真面目で本歌の雰囲気を綺麗に取り込んだ「人狼病の恐怖」、まとまりがあり本歌の特徴がトリックに生きた「すべてがXになる」、メルパルク鮎と「まゆーさん」というもじりだけでもうすべてOKな「夏と冬の迷走曲(どなた)」。すいませんが芦辺さんの作品だけは不勉強で何をどうもどいたのかわかりませんでした。


(315P/読書所要時間3:00)