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愛は血を流して横たわる/Love Lies Bleeding  (ねこ3.6匹)

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エドマンド・クリスピン著。国書刊行会。世界探偵小説全集5。

美しい女子生徒の失踪、化学実験室の盗難事件と終業式を前にあいつぐ不祥事に校長は頭を悩ませていた。しかし、終業式前夜、この学園の小さなミステリは、突如として教員の二重殺人事件へと発展した。来賓として居合わせたオックスフォード大学の名探偵ジャーヴァス・フェン教授は協力を請われ、さっそく事件現場へ急行、酸鼻な犯行に目を見張った。さらに翌日、郊外のあばら家で第三の死体が発見され、事件はますます混迷の度を深めていった…。連続殺人、失蹟事件、シェイクスピア原稿の謎と、息もつがせぬ展開の底に流れる不気味なユーモア、錯綜する論理と巧みなサスペンス。ポスト黄金時代を代表する本格派クリスピンの最高傑作。 (あらすじ引用)


クリスピン3冊目~。
『大聖堂は大騒ぎ』や『消えた玩具屋』よりどたばた感が薄いという噂を聞いていたが、いやいやいや、楽しかった。今回はジャーヴァス・フェン以外の学園の教師達や外部の関係者もいちいち面白かったなあ。捜査の合間や物語の進行に合わせて笑わせてくれる。父兄でないフェンに「大変優秀なお坊ちゃんで・・・」とお決まりの挨拶をするシーンや、「なんとかなんとかは去ってゆけ、タンタタンタタン、なんとかを~♪」と歌った後に(歌詞を忘れたらしい)という注釈があったり(笑)。まあ一番面白かったのは、謎解きをしている最中に眠ってしまったフェンかな(笑)

学園ミステリだけど、関わっている生徒は厳密に言えば行方不明になったブレンダだけ。事件そのものは完全に大人の世界のもので、舞台が学校でなくても成り立ったかもしれない。動機はいかにも英国らしく、アリバイトリックも現代人にはわかりにくい。○○○を見た事がないから3回読んでもピンと来なくて調べてしまった^^;
また、「うっかり」と「偶然」が多すぎるのが残念だ。アレ、深い意味なかったのかよ~^^;;;;


・・・が、好みなのでやはり読んでいて楽しい。
ところで、原題は「愛」のラブじゃないので邦訳としてはおかしいような。言葉のひっかけとしても内容に合っていないし。はて?

                             (303P/読書所要時間3:00)