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ふたりジャネット/The Two Janets  (ねこ4.3匹)

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テリー・ビッスン著。河出書房新社奇想コレクション

本邦初のテリー・ビッスン短篇集。サリンジャー、ピンチョンら有名作家たちが続々と田舎町に引っ越してきた?英国が船みたいに動きはじめた?万能中国人がヘンテコなす牛木で事件を解決?そんなばかな話ってある?屈指の技巧派にして短篇の名手ビッスンが描く物語は、まさに現代の“ほら話”。ヒューゴー賞ほかアメリカ棋界の賞を総なめにして、一躍その名をとどろかせた名作ファンタジー「熊が火を発見する」をはじめ、ショートショート「アンを押してください」、ロマンティック・コメディ「未来からきたふたり組」、盲目の画家が死後の世界で見たものは…「冥界飛行士」、“万能中国人ウィルスン・ウー”3部作「穴のなかの穴」「宇宙のはずれ」「時間どおりに教会へ」など、全9篇を収録。ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞、デイヴィス読者賞、スタージョン記念賞受賞。 (紹介文引用)


やったぁ~~~やったぁ~~~大当たり!!たいへん気に入りました!v(^^)v
キュートな表紙に謎めいたタイトル、beckさんの高評価。奇想コレクションの中でも特に気になっていた1冊。もちろん初挑戦の作家。9編収録されておりますが、大きく分けてSF作家ですね。
では、感想を。

『熊が火を発見する』
これがヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞、デイヴィス読者賞、スタージョン記念賞受賞という作品ですね。なんだかゆきあやにはよく分かんないけど凄そうだ。
ジャンル的にはファンタジーというか、牧師の兄と牧師の息子、ホームに入所している兄、そして熊が登場。車がパンクして、懐中電灯が電池切れした状況に、火を持った熊が現れるという凄いお話。雰囲気最高ですね。
ただ、そのなになに賞総嘗めレベルほどの凄さまでは感じなかったんだけどね。

『アンを押してください』
ゆきあやのスイッチが入ったのはコレ!!!
わずか数分で読めちゃうんですが、このアイデアとユーモアに脱帽。ATMの選択ボタンに「お天気」って(笑)!!オチも感激です。

『未来からきたふたり組』
無名の画家・ロサドの前に現われたのは、未来から来た男達。近い未来、ロサドが個展を開き有名になるという事実を聞かされたロサドは。。。
感動的なSFロマンスコメディ!愛は~♪時空を超えて~~♪←ゆきあや突然の作詞作曲
ただ、ラスト1行がわからなかったのが残念。観てないよぅ。。

『英国航行中』
主人公はフォックス氏と愛犬アンソニー。なんと、イギリスそのものが航行してしまうという(笑)。
どこへ行くのだイギリス。。アイルランド人、アフリカ人、アメリカ人と様々な国籍の人々が登場。
いや~、面白いなあ。○○○○まで行っちゃったよ。冷静にお茶を飲んで本を読むフォックス氏が笑える。。

『ふたりジャネット』
文学好きのジャネットと、親友のジャネット。ジャネットの実家オーエンズ・ボロに、毎日のように著名作家が引っ越して来るという珍現象が・・・!!
こいつぁなんて面白いんだ~!公衆電話にいつも電話をかけてくるジャネットの母が意味不明(笑)。
短いお話だったけど、もっと読みたかったなあ。

『冥界飛行士』
ひぃぃ~!またこれはうってかわって恐ろしいSFですな。。盲目の画家・レイが、実験の為に臨死体験をするという。。パートナーのソレルがほんとに不気味。レイには見えないから触感と雰囲気だけ伝えて来るのだけど、第三者が見たソレルの外見が。。。ひええええ^^;;;こ、これも一種のラブロマンスものですな。いや、ホラーSFか。。。

『穴のなかの穴』
『宇宙のはずれ』
『時間どおりに教会へ』
この3編は、「万能中国人」シリーズってことみたい。
どうもこの叢書は、後半の作品につれレベルが上がって行くから辛い。。数式が満載でわけがわかりません^^;周期的不適合新位相幾何学的超越ユークリッド的隣接とか言われても^^;;;万能中国人のウーは物理学をやっていてパン職人で数学が得意で漢方を修得して法律に詳しくてゴビ砂漠隊商でギターが上手い気象学的昆虫学者だそうな(笑)。ウーのキャラはなかなかいいね。アーヴとキャンディの恋の行く末もちょっとハラハラするし。
でも、理解し切れない^^;これが好きな人と自分の違いって、感性の違いというより知能指数の差な気がするよ。。。

以上~。
最後にちょっとコケたけど(自分の責任さ。。)、最高に楽しめる作品集でした!余は満足じゃ^^

                             (368P/読書所要時間3:30)