すべてが猫になる

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猫目石  (ねこ3.2匹)

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栗本薫著。角川文庫。

SF作家にして名探偵の栗本薫クンは逗留先の軽井沢で、女流作家藤波武子女史からアイドル歌手朝吹麻衣子を紹介され、すっかり心を奪われてしまう。その夜から藤波女史の別荘に泊ることになった薫クンは、麻衣子の周りで起こる連続殺人事件に巻き込まれてゆく。そして伊集院大介が登場し、独自の調査に乗り出した!栗本薫との二大名探偵夢の競演。 (上巻裏表紙引用)


「ぼくらの時代」シリーズの薫君と、伊集院大介が夢の競演ということで。

視点は薫君の方がメインとなっていて、「伊集院さん=ホームズ」、「薫君=ルパン」という構図でありながら主役はあくまでも「かっこいいほう」ではないのであった。しかし、伊集院さんのパートナー・森カオルさんが意味なく出て来てややこしい^^;薫君の親友・信も久々に登場したみたいだけえど、居なくても良かったような^^;

伊集院さんは相変わらず優しくてふわっとしていて魅力的。
だけど、肝心の薫君目線がどうにもこうにも痛々しかった。。29歳が、17歳のアイドルに惚れるというのはまだいいとしても、愛し方が情熱的すぎて古っぽい。実際古い作品に古いと言うのは卑怯だと思うが、気持ちが影響するのだから仕方ない^^;アイテムとして「いとしのエリー」や「スリラー」が出て来るのはいいんだよ。でも、さすがに「君のためなら人も殺せるー!!」「たとえ君が人殺しでも構わないー!!」だもんね。^^;レズも兄弟愛も、「私はお人形じゃない!」っていうアイドルの内面も、描き方が”昭和”なんだなあ。
ミステリ的にはあまりにも人が死にすぎで謎解きのに対する好奇心が薄れるなあ。絶対1人の犯行じゃないでしょ、7人8人も殺されてたら。そうなると麻衣子の複雑すぎる家庭環境もやり過ぎてて付いて行けない。。事件の真相には強引さよりもスムーズな紐解き感があったけど、これこそ伊集院さんのパーソナリティゆえかもね。

でも、最後に伊集院さんが薫君に言った「あなたとあの人は、同じものを見る人だったんですね。」には深く感じ入った。

以下ネタバレ↓。未読の方はご注意下さい。
















結局、薫君と麻衣子は3年くらいで別れていたと思う。
だからこそ、飛行機事故で麻衣子が死んだ、なんて結末にしたんじゃないかな。


















                             (602P/読書所要時間4:30)