すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

少年たちのおだやかな日々  (ねこ3.5匹)

イメージ 1

多島斗志之著。双葉文庫

こんな時、あなたならどうしますか? 同級生の母親の不倫現場を目撃してしまったら? 姉の婚約者がある犯罪の常習犯だとしたら? ――おだやかに過ごしたいと願う少年が遭遇する7つの出来事。テレビドラマ化された2編(「言いません」「罰ゲーム」)を含む傑作短編集。読者の熱いリクエストに応えて新装版で堂々復刊!  驚異のドンデン返し7連発に乗り遅れるな!(裏表紙引用)


重版9刷、読者リクエスト復刊という事で、どんなもんじゃい?と読んでみた。
どれも安定した面白さがあり、オチも効いていて、テーマも一貫していて良かったと思う。けど、自分にはやはりパンチが弱かったかな~。もっと「うわあああ!」という結末と展開を期待していたのだけど、どれも想像範囲内のオチ、怖さだったというか。

『言いません』
友人の母親の不倫現場を目撃してしまった少年。その時から少年はその母親に付きまとわれるようになるが。。。実際に経験したら怖いだろうねー。別に興味も無いし、言いふらす気もないのにねえ。

『ガラス』
子供の頃、兄をガラス片で殺してしまったと言う少女。交際している少年は、少女の思い込みを払拭させようとするが、少女の廻りで不審な事件が相次ぎ始めた。。これもオチは読みやすいな。他に何も感想はない。

『罰ゲーム』
友人の家に初めて遊びに行った少年。だが、友人は「姉が話しかけて来ても無視をしろ」と言う。これと言って愛想も悪くない普通の姉だったため、少年はうっかり姉との会話に乗り始めてしまう。。
だからこの程度の恐怖は慣れてるんだってば。「絶対に嫌だ!」というような罰ゲームって言ったって、しょせん・・・・・・うわあああああああああああああ^^;;;;;;;

ヒッチハイク
半島縦断を目指していた少年2人は途中で力尽き、ヒッチハイクを試みた。運良くカップルの車に乗せてもらった少年達だが。。。怖さよりも、ストーリー的な盛り上がり、謎の行方、という点ではこれが面白いと思う。

『かかってる?』
叔父の催眠術にかかってしまったという少年。彼は家で、椅子を探し続けるという奇癖が始まってしまったという。。催眠術云々にそれほど面白味はないが、オチは一番意外性があった。これぐらいやらないとホラーじゃない。

『嘘だろ』
姉の婚約者がスカート切り魔?少年は、姉の為に婚約者の正体を暴こうとするが。。それなりに緊迫感はあるし、婚約者の正体が最後まではっきりしない点もなかなかいい。しかし、この真相は余りにも
唐突感がありすぎて萎える。

『言いなさい』
学校で、クラスメイトから窃盗を働いた疑いをかけられた少年。教師2人の説得にも応じず持て余すが。。これは、少年の正体や真意がはっきり見えないという恐怖を描いていて一番面白かった。大人の歪みを描きながら、一番怖いのは・・という効果が出来ていて良いね。


以上。
凄く怖いものや嫌なものは苦手だけど、ちょっとゾクッとしてみたい、という読者にはいいんじゃないかなー。

                             (261P/読書所要時間1:30)