すべてが猫になる

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少女  (ねこ3.8匹)

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湊かなえ著。早川書房

ベストセラー『告白』の著者が放つ、書き下ろし長篇。高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは? (あらすじ引用)


うーん、黒い。黒いぞぅ。
発売前に、誰よりも早く予約していたのですが、急遽引っ越しが決まりキャンセルの憂き目に。再び予約しようと思った時には予約数がえげつない事になっていたので買いました。とほほ。
前作「告白」がなかなか面白かったので期待しておりましたが、こちらの作品も前作に負けずとも劣らない秀作でしたね。ここにもあそこにも悪意、悪意、悪意。。。しかしこの方の作品はリアルをそのまま映し出したものではない、と言う一面もあるのでそれほど不快にはなりません。
ここに描かれている少女達の無力感や残酷さ、鈍感さは現代の少年少女の鏡像という感じは致します。が、もちろんここまで極端なケースは「一部」だと信じています。それゆえか、大人(湊さん)が想像力と情報力を駆使して描いたもの、という距離感は感じますね。作り物感が拭えないというか。別に欠点ではなくて、特徴として挙げてみました。

黒い黒いとは言いつつも、主要キャラの由紀と敦子はそれぞれ福祉ボランティアとして活動する感心な面を持っています。きっかけが何であれ、無目的であれ、結局は一生懸命仕事をこなし、役に立っているのですからね。

ミステリとしての技巧はまたしてもパワーアップしています。
前作のラストのような「うわっ!」という驚きではないのですが、じわじわじわ、とこういう結末を迎える事の恐ろしさ、お話を繋げて纏める事の上手さはさすがですね。
前作も今作も、どちらが好き、とは言えないなあ。どっちも凄い。好みど真ん中ではないけれど、これからも追いかけて行きたい作家さんになりました^^