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恋文の技術  (ねこ3.8匹)

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森見登美彦著。ポプラ社

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ?。(あらすじ引用)


モリミー待望の新刊。
今回は書簡小説の体裁を取っていて、読みやすく笑える、楽しい内容。基本的には恋愛小説ですが、ある男子学生のモヤモヤした孤独と調子の良さを描いたものだと言えましょう^^

出て来るのは、まず手紙の書き手である守田一郎。能登の研究所へ飛ばされ、日々研究と煩悩と文通に明け暮れています。文通相手はマシマロ小松崎という友人だったり、最高厄介なお姉様・大塚さんだったり、見どころのある少年・まみや君だったり、友人の作家・森見登美彦氏だったり、自分の妹だったりと様々。返事が届く側から返事を書き、恋文の技術を磨きます。相手によって文調が違うのが面白いですね。この青年、結構器用なのでは^^;特に森見氏への言葉遣いが酷い(笑)
しかしそんな彼も、愛しき伊吹さんには手紙を出せないのですね~。
失敗書簡、という章がなかなか楽しいので乞うご期待。

凄いと思うのは、単に時系列で手紙を並べただけではなく、それぞれが章ごとに繋がっている所ですね。彼が様々な事件?に悩んでいる時に森見氏にはこう言い、お姉様にはああ言い、と形が変わっているところがなんとも楽しいです。さらには、きちんと最後に物語として進展を見せるというのが森見氏の手腕だなあと感心します。手紙っていいなあ^^
おいらも学生時代は文通が大好きだったんですよね。女の子ばっかりでしたけど、元クラスメートや雑誌の文通相手募集コーナーとかで知り合った全国各地の同世代の子と文通しまくってました。手紙を書く事以前に、字を書くのが好きだったのかなー。今でも実家の押し入れでその膨大な手紙達は眠っております。

ところで、守田君の恋のゆくえやいかに(笑)。