すべてが猫になる

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シャングリ・ラ  (ねこ4.7匹)

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池上永一著。角川書店

地球温暖化の影響で東京は熱帯の都市へと変貌した。都心の気温を5℃下げるために東京は世界最大の森林都市へと生まれ変わる。しかし地上は難民で溢れ、積層都市アトラスへと居住できる者はごく僅かだった。地上の反政府ゲリラは森林化を阻止するために立ち上がった。 (あらすじ引用)


初挑戦の池上さん。怒濤のハードカバー二段組み600ページ、3日間かけて終了(;^^A。いやあ、もう、こりゃ本当に面白かった!読み終わるのが勿体ないと思ったくらい。一体どういう作風なのかな?と最初は様子見でしたが、とにかく荒唐無稽。ファンタジーとSFと混じり合って、独特の近未来社会を描いています。アドベンチャーに近い?

舞台は近未来の東京。ヒートアイランド現象が深刻化し、熱帯の国と化した日本。政府は、二酸化炭素削減の為国民に二酸化炭素の発生に税金を課す対策を施行していた。さらに、緑化を基盤とした空中高層都市アトラスを建設するも、そこへ移住出来るのは国民でもエリートと呼ばれる富裕層だけであった。。地上へ取り残された国民は森林化により苦渋の暮らしを強いられている。そこで新大久保から発信されるドゥオモでゲリラ組織”メタル・エイジ”が立ち上がるが。。

とにかく女性キャラ万歳!の世界。ふざけてるのかと思うほどに全ての女性キャラが立っています。
少年院から出所した組織の総統”國子”、國子の母親代わりであるニューハーフのモモコ、くじに当選しアトラスへ移住したおデブのオカマ”ミーコ”。
出自が謎の八歳の少女”美邦”、彼女に嘘をつくと翌日その者は惨殺死体で発見されます^^;。美邦の側近”小夜子”、美邦に殺されない奇蹟の女官、しかしコンプレックスが強く倒錯気味。
経済炭素予測システム「メデューサ」の生みの親、香凛(10歳!)。仲間の”貧乏なクラリス”。
後半から登場した最強の女・涼子(不死身?^^;)。
え~と、これで全部だったかな。一人二人性別が微妙な人がいますが^^;

個人的にはおデブの迷惑女・ミーコと時代錯誤なお姫様、美邦が好きでしたね~。この二人が出て来るとページを止められない。この二人に限った事ではないのですが、どの女性も哀しさを背負って強く生きてるんですよね。外見コンプレックスが転じてフェロモン過多になっていたり、身分の高さが孤独を映し出したり、孤児である故に強くならざるを得なかったり。そして多くの女性達が、他人の愛情なくしては辿り着けない、素晴らしい自分に到達しようとして行くんです。
ストーリー的には予測もし得ない凄いところへ行ってしまったのでアレなんですが、成長物語として感動するばかりでなくキャラありきの物語でしたね、完全に。一つ一つのエピソードから目が離せなくって。ある意味文学よりも漫画に近かったかも。日本の象○に対しておちょくっている感じもなきにしもあらずでしたが。ネタは割れませんが、わざと真逆の設定にしているのかな?と思ったり。

満足すぎるぐらい満足です。「テンペスト」買っちゃおうかな~^^ ビバ分厚い本♪