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武士道シックスティーン  (ねこ3.7匹)

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誉田哲也著。文藝春秋

「ようするにチャンバラダンスなんだよ、お前の剣道は」剣道エリート、剛の香織。「兵法がどうたらこうたら。時代錯誤もいいとこだっつーの」日舞から転身、柔の早苗。相反するふたりが出会った?。さあ、始めよう。わたしたちの戦いを。わたしたちの時代を。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち一本。 (あらすじ引用)


やっと読めました、武士道うんちゃらシリーズ。
いやあ、大長編の後にはこういうサクッと読める作品がいいですね~。噂どおりの汗と涙と青春の成長物語で、作者があの誉田さんだと言う事は念頭に置かないで読んだ方が良いです^^

驚いたのは、またしても主人公が女性。剣道というと男性スポーツの印象があったのですが、二人のメインキャラが女性というのはこれはもうやっぱり誉田さんのこだわりなのでしょう。一度男性主人公のものも読んでみたいところですが。あるのかな。ありそうだな。
剣道を”兵法”にたとえ、勝ち負けに徹底的にこだわる野性的な香織。全中準優勝の彼女は、地域大会の四回戦で無名の選手に完敗。その屈辱を晴らすべく香織が選んだ進学先は、その対戦相手の敵陣である東松高校だった。晴れて憎むべき相手西荻早苗と再会した香織だが、早苗は香織が幻滅するほどの弱小選手で。。

どうです、おもしろそうでしょう^^
対照的な女性キャラ、というのは「ジウ」を思い起こさせますね。気が強いのと気が弱いのと、結構この人のパターンだなと思うのですが^^:あと、自分は剣道をやった事がないので技の名前とかがいまいちピンと来なかったです。(さすがにメン、ドウ、突きはわかるけどさ)防具のイラストより、技のイラストが欲しかったところ。

飄々とした性格で、剣道に勝敗を求めない早苗に対し、敵意剥き出しで喧嘩をふっかける香織。自分がこんな弱い相手に負けたなんてプライドが許さないと日々早苗に突っかかって行きます。やがて同じ剣道部の二人は、練習や試合を重ね成長し、心を通わせて行くわけですが。。
うん、普通の展開です^^;
しかし、スカッとするんですよね~。前向きであること、挫折を味わうこと、その二つの要素がバランスよく配合されていてうまいです。早苗も単なるいい子ちゃんではないし(香織の文庫本を投げ捨てたぞ^^;)、香織も実はただの剣道バカ(笑)。両極端な二人でも、芯のところは同じ。だから意識するし、歩み寄れるんですよね。

「セブンティーン」も面白くなりそうな展開。一つの障害を乗り越えた二人にこれからまたどんな新たな敵が立ちふさがるのか。楽しみです^^